サンダーボルツ*
Thunderbolts* / 2025年
『サンダーボルツ*』はMCU映画公開順第36作、フェーズ5の最終作であり、暗殺者、元兵士、実験体など、これまで他人に利用されてきた者たちが、自分たちの意思で「誰かを救う側」に立つまでを描く物語です。
MCU時系列では**『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』後の現代**に位置し、Disney+の公式タイムラインでも同作の後に配置されています。
中心となるのは、ナターシャ・ロマノフを失って以来、仕事を続けても心の空白を埋められないエレーナ・ベロワ。彼女はCIA長官ヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌの汚れ仕事を請け負っていますが、同じく利用されてきたジョン・ウォーカー/USエージェント、エイヴァ・スター/ゴースト、アントニア・ドレイコフ/タスクマスターとともに証拠隠滅のため始末されかけます。
そこへ、政治家となったバッキー・バーンズ、かつての栄光を忘れられないアレクセイ・ショスタコフ/レッド・ガーディアン、そして秘密実験によって規格外の力を得た謎の男ボブ/ロバート・レイノルズが加わります。
本作の中心にあるのは、単なる「寄せ集めチームの結成」ではありません。ボブの中から現れるヴォイドを通して、孤独、罪悪感、自己嫌悪、依存、過去の傷とどう向き合うのかを描きます。そして最後には、タイトルについていた「*」の意味まで回収され、MCUに新たなニュー・アベンジャーズが誕生します。
詳しいあらすじ
1. 空虚さを抱えるエレーナ
エレーナ・ベロワはヴァレンティーナの工作員として危険な任務を続けています。クアラルンプールでは高層ビルから飛び降り、秘密研究施設へ侵入して証拠を破壊。任務自体は鮮やかに成功しますが、本人に達成感はありません。
『ブラック・ウィドウ』でナターシャと家族を取り戻したエレーナですが、その後ナターシャは『エンドゲーム』で死亡しています。仕事を続けても心の空白は消えず、アレクセイにも「何をしても満たされない」ような感覚を打ち明けます。
本作は世界の危機ではなく、主人公が自分の人生に意味を感じられない状態から始まります。この感覚が、後に同じような闇を抱えるボブとの関係へつながります。

2. ヴァレンティーナに迫る議会の追及
CIA長官となったヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌは、議会から不正を追及されていました。民間企業O.X.E.グループと秘密裏に協力し、人体実験や非合法な工作活動を進めていた疑いがあるためです。
さらにエレーナ、ジョン、エイヴァ、アントニアは、彼女が表に出せない任務へ利用してきた工作員です。議会の調査が進めば、彼らはヴァレンティーナの犯罪を証明する証人になり得ます。
そこで彼女は証拠を消すだけでなく、自分の命令を知る工作員そのものを処分することを決めます。
これまで複数作品で工作員を集めていたヴァレンティーナですが、本作で明らかになるのは、彼女が仲間を求めていたのではなく、自分の権力のために便利な人間を集めていたという事実です。

3. 地下施設へ集められた4人
ヴァレンティーナはエレーナへ、O.X.E.の地下施設へ侵入した危険人物を排除するよう命じます。
しかし施設にはすでにジョン・ウォーカー/USエージェント、エイヴァ・スター/ゴースト、アントニア・ドレイコフ/タスクマスターがいました。しかも全員が別々の命令を受けており、互いを標的だと思っています。
そのまま戦闘となり、エイヴァは透過能力で攻撃をかわしながらアントニアへ発砲。タスクマスターは頭部を撃たれ、その場で死亡します。
『ブラック・ウィドウ』でレッドルームから解放されたアントニアですが、自由になった後も再び別の権力者に利用され、あっけなく命を落とします。この死によって、ヴァレンティーナにとって工作員たちが本当に「使い捨て」であることが示されます。



4. 謎の男「ボブ」
殺し合いの最中、施設内の収納区画から一人の男が現れます。
彼は自分をボブと名乗りますが、なぜここにいるのかをほとんど覚えていません。普通の服を着た気弱そうな男で、戦えるようにも見えません。
しかしエレーナが彼へ触れた瞬間、幼少期やブラック・ウィドウとしての過去に関する苦しい記憶を一瞬見せられます。ジョンもボブへ触れることで、自分がキャプテン・アメリカとして失敗した記憶へ引き戻されます。
この段階ではボブ本人も何が起きているのか理解していませんが、彼の中には身体能力だけでは説明できない何かが存在しています。
そしてエレーナたちは、互いへ与えられた命令や施設の状況から、自分たち全員がヴァレンティーナに始末されるため集められたのだと気づきます。

5. 殺し合いから共同脱出へ
地下施設では自動焼却システムが作動し、巨大な炎が迫ります。
ほんの数分前まで殺し合っていたエレーナ、ジョン、エイヴァは、生き延びるために初めて協力します。そこへ戦闘員ですらないボブも加わります。
友情も信頼もありません。しかしエイヴァの透過能力、エレーナとジョンの判断力を組み合わせなければ全員死ぬため、それぞれが自分の能力を使い、何とか地下から脱出します。
ここが後のチームの最初の形です。
**「仲間だから助ける」のではなく、「一人では無理だから手を貸す」**という最低限の関係から始まり、それが少しずつ本当のつながりへ変わっていきます。


6. ボブに眠るセントリーの力
地上へ出ても、ヴァレンティーナの部隊が一行を待ち構えていました。
ボブはエレーナたちを逃がすため前へ出ますが、兵士たちから一斉射撃を受けます。ところが、何発撃たれても身体には傷一つありません。
さらに本人の意思とは関係なく空中へ浮かび、驚異的な速度で上昇。そのまま墜落しても生きています。
ヴァレンティーナはここで彼の正体に気づきます。
ボブは、O.X.E.で進められていた極秘人体実験**「セントリー計画」**の被験者でした。多数の失敗者の中で唯一生き残り、ヴァレンティーナが失ったと思っていた「最高の成果」です。
エレーナたちは逃げ延びますが、ボブは捕らえられ、ニューヨークへ運ばれます。

7. アレクセイと「サンダーボルツ」の名前
逃亡するエレーナ、ジョン、エイヴァの前へ、アレクセイ・ショスタコフ/レッド・ガーディアンが現れます。
かつてロシアのスーパーソルジャーだったアレクセイは、現在リムジンサービスの運転手として働きながら、過去の栄光を語り続けています。しかし仕事中に偶然ヴァレンティーナ側の会話を聞き、エレーナが危険だと知って救出へ来ました。
移動中、エレーナが幼い頃に所属していたサッカーチームの話になります。その名前が**「サンダーボルツ」**でした。ジョンは半ば冗談のように、今の寄せ集め集団をその名で呼び始めます。
MCU版のサンダーボルツは、政府が正式に編成した精鋭部隊ではありません。
人生に失敗した者たちが偶然同じ罠から生き残り、エレーナの子ども時代のチーム名を借りてまとまった集団です。

8. 議員となったバッキー・バーンズ
一方、バッキー・バーンズは戦場ではなく政治の世界へ進んでいました。
ヒドラにウィンター・ソルジャーとして利用された過去を乗り越えた彼は、現在は議員となり、議会側からヴァレンティーナの不正を追っています。ただし政治家としての生活に完全に馴染んでいるわけではなく、制度の中だけで悪事を止めることにも焦りを感じています。
ヴァレンティーナの補佐官メルも上司のやり方に疑問を持ち、バッキーへ情報を流します。
バッキーは逃亡中のエレーナたちを追跡し、ウィンター・ソルジャー時代を思わせる戦闘能力で一行を制圧します。しかし目的は彼らを殺すことではありません。
エレーナたちを議会へ連れて行き、ヴァレンティーナを失脚させるための証人にすることが狙いです。


9. 彼らに共通する「失敗した人生」
行動を共にするうち、一行には意外な共通点が見えてきます。
ジョンは政府からキャプテン・アメリカへ選ばれながら重圧に耐えきれず、怒りによって称号を失いました。エイヴァは幼少期の量子事故から能力を得た代わりに、S.H.I.E.L.D.から兵器として利用されました。アレクセイはかつての英雄という過去にすがっています。
バッキーはヒドラの洗脳から解放された後も、現代で自分の居場所を探し続けています。そしてエレーナも、レッドルームに奪われた人生とナターシャの死を抱えています。
彼らは「悪人が改心してヒーローになる」チームではありません。
すでに何度もやり直そうとし、それでも自分が何者なのかを決め切れない人間たちです。
この共通点が、のちに同じく自分を失っているボブを救う理由になります。

10. 旧アベンジャーズ・タワーの新たな所有者
ヴァレンティーナがボブを運び込んだのは、ニューヨークのウォッチタワーです。
その正体は、かつてトニー・スタークが所有し、『アベンジャーズ』でチームの象徴となった旧アベンジャーズ・タワーでした。
『スパイダーマン:ホームカミング』ではスタークが建物を売却したことだけが示され、長く買い手が不明でした。本作でヴァレンティーナ側が取得していたことが判明します。
彼女が欲しいのは単なる兵器ではありません。
ニック・フューリーのように、**「新たな英雄を生み出し、管理する人物」**として世界に認められることです。そのための切り札として、ボブを新ヒーローへ作り替えようとします。

11. ボブから「セントリー」へ
ボブは過去に薬物依存や強い自己否定を抱え、自分の人生を変えたいと思ってセントリー計画へ参加していました。
実験によって得た力は圧倒的です。ヴァレンティーナは彼へ黄色と青のスーツを与え、**「セントリー」**という新しいヒーローとして表舞台へ出そうとします。
何をしても自分には価値がないと思っていたボブにとって、「世界を救えるほど特別な存在だ」と言われることは大きな誘惑です。
しかし本作は、弱いボブが消えて強いセントリーへ生まれ変わる話ではありません。
傷ついた過去も自己嫌悪も、力を得たから消えるわけではありません。むしろ圧倒的な力が与えられたことで、彼の「自分は無価値だ」という感覚と「自分は神のような存在だ」という感覚の振れ幅まで大きくなっていきます。

12. サンダーボルツ、ボブを救いに行く
メルはセントリー計画の危険性を感じ、バッキーへ状況を知らせます。
エレーナたちはそのまま逃げることもできますが、ボブを置いていくことを選びません。
エレーナにとって、地下施設で出会ったボブは自分とよく似ています。能力や経歴ではなく、「自分の人生に意味があるのか分からない」という感覚が似ているのです。
だからこそ、彼女はボブがヴァレンティーナの道具にされるのを見捨てられません。
ここで一行は初めて、生き残るためではなく誰か一人を救うために自発的に同じ目的へ向かいます。
サンダーボルツが本当のチームになる決定的な変化です。


13. セントリーとの戦い
ウォッチタワーで一行は、完全な姿となったセントリーと対面します。
しかし勝負になりません。
銃撃も格闘も刃物も通用せず、ジョンの盾も簡単に変形させられます。スーパーソルジャーであるバッキーさえ圧倒され、金属製の左腕まで外されてしまいます。
セントリーはほとんど力を入れずに全員を制圧します。
そしてボブ自身も「自分は特別だ」と理解し始めます。これまで自分を何の価値もない人間だと思っていた反動で、今度は力があるから自分には絶対的な価値があるという方向へ傾いていきます。
ヴァレンティーナが命令しても、もはや従う必要すらないと考え始めます。

14. セントリーからヴォイドへ
自分でも制御できなくなったセントリーを恐れたヴァレンティーナは、メルに緊急停止用のキルスイッチを作動させます。
ボブは倒れますが、危機は終わりません。
むしろ彼の中に抑え込まれていたヴォイドが表へ現れます。
セントリーが「自分は何でもできる」という極端な光の側面なら、ヴォイドは「自分には何の価値もない」「すべて消えてしまえばいい」という極端な闇の側面です。
ヴォイドはニューヨークへ闇を広げ、人々を次々と飲み込みます。巻き込まれた者は現実世界から消えたようになり、自分が最も苦しんだ記憶や恐怖の中へ閉じ込められます。
セントリーの時点で物理的に勝てなかった相手が、今度は形のない闇そのものとなります。

15. エレーナがボブの心へ入る
エレーナはヴォイドを外から倒すのではなく、自ら闇の中へ入ります。
そこで彼女自身も、ブラック・ウィドウとして人を傷つけてきた過去、ナターシャを失ったこと、現在の空虚な生活など、自分が目を背けてきた記憶へ閉じ込められます。
それでも奥へ進み、やがて幼少期の寝室に隠れるボブを見つけます。
無敵のセントリーでも、都市を飲み込むヴォイドでもありません。その中心にいるのは、父親を恐れ、傷つき、自分を嫌ってきた一人の人間です。
さらにバッキー、ジョン、エイヴァ、アレクセイもヴォイドへ入り、ボブとともに彼の過去を進みます。薬物依存、自暴自棄だった時期、そして人生を変えようとしてセントリー計画へ参加した記憶へたどり着きます。

16. ヴォイドを倒すのではなく、一人にしない
記憶の最深部でボブはヴォイドと向き合います。
しかし自分の力で闇を殴り倒そうとするほど、逆にヴォイドへ飲み込まれていきます。自分の嫌いな部分を消そうとする行為そのものが、さらに自己否定を強めているのです。
そこでエレーナは戦うのをやめ、ボブを抱きしめます。バッキー、ジョン、エイヴァ、アレクセイも加わります。
最終決戦の答えは、より強い攻撃ではなく、「お前は一人ではない」と示すことでした。
ボブはヴォイドそのものを完全に消したわけではありません。自分の中の闇を認め、仲間の存在によって支配されない状態へ戻ります。
ニューヨークを覆っていた闇は消え、閉じ込められていた人々も現実へ戻ります。
そしてボブを救ったエレーナ自身も、他人とつながることにもう一度意味を見いだします。


17. ヴァレンティーナ最後の一手
危機が終わると、一行はすべての原因を作ったヴァレンティーナを拘束しようとします。
しかし彼女は最後まで権力者でした。
一行が部屋へ入ると、すでに大規模な記者会見が始まっています。ヴァレンティーナはカメラの前で、ニューヨークを救った彼らを自分が集めた新たなヒーローチームだと紹介します。
そしてその名前を、**「ニュー・アベンジャーズ」**と発表します。
失脚寸前だった彼女は、自分が引き起こした危機の解決を自分の功績へすり替え、「アベンジャーズを再建した人物」という立場を作ったのです。
一行はその場では話に乗りますが、エレーナはヴァレンティーナへ、今度は自分たちが彼女を監視する側だと告げます。
かつて使い捨てだった工作員たちは、世界へ公表されたことで簡単には消せない存在になりました。

18. 「サンダーボルツ*」から「ニュー・アベンジャーズ」へ
エンドクレジットでは、タイトルの**『Thunderbolts*』が『The New Avengers』へ置き換わります。**
タイトルについていた「*」は単なるデザインではなく、サンダーボルツという名前が最終的なチーム名ではないことを示す仕掛けでした。
ただし彼らが突然、スティーブやトニーのような理想的ヒーローになったわけではありません。
失敗も罪も傷も残っています。
それでもヴァレンティーナの命令ではなく、自分たちの意思でボブとニューヨークを救った。その行動によって、彼らは初めて「英雄の名前」を自分たちのものにし始めます。


ミッドクレジット
ニュー・アベンジャーズ結成後、アレクセイはスーパーのシリアル売り場にいます。
そこにはニュー・アベンジャーズのメンバーが印刷されたWheatiesの箱が並んでいました。
本編中、アレクセイは活躍すれば有名なシリアル箱に載れるかもしれないと夢を語っており、その願いが本当に実現した形です。
過去の栄光ばかり語っていたアレクセイが、現在の仲間たちと新しい実績を得たことを示す小さな後日談になっています。

ポストクレジット
物語から14か月後。ニュー・アベンジャーズはウォッチタワーを拠点に活動しています。
エレーナ、バッキー、ジョン、エイヴァ、アレクセイに加え、ボブもチームのそばにいます。ただしボブは、セントリーの力を使えば再びヴォイドを呼び起こす危険があるため、簡単には力を使えません。
さらに、サム・ウィルソン/キャプテン・アメリカも別のアベンジャーズを集めようとしており、「アベンジャーズ」の名称を巡って両チームが対立していることが会話から分かります。
その最中、宇宙から未知の物体が接近。モニターへ映った異次元由来の宇宙船には、巨大な**「4」**のマークが刻まれていました。
これは明確にファンタスティック4へつながる伏線です。
『サンダーボルツ*』はニュー・アベンジャーズを誕生させるだけでなく、地球側の新チームと別世界のファンタスティック4を接続し、次の大規模クロスオーバーへ進む入口にもなっています。


主要キャラクターまとめ

エレーナ・ベロワ
ナターシャ・ロマノフの妹で、レッドルームによって育てられた元ブラック・ウィドウ。
本作ではナターシャの死後もヴァレンティーナの工作員として活動していますが、何をしても空虚さが消えません。ボブとの出会いによって、自分と同じように人生の意味を見失った相手と向き合います。
最終的には誰よりも先にヴォイドへ入り、ボブを一人にしないことを選びます。戦闘力でチームを率いるというより、自分も傷ついているからこそ他人の傷を見捨てない人物として、ニュー・アベンジャーズの精神的中心になります。

バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー
ヒドラに洗脳され、長年暗殺者として利用されたスーパーソルジャー。
『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』で過去の罪と向き合った後、本作では議員となってヴァレンティーナを制度の内側から追及しています。
一方で政治だけでは足りないと感じ、最終的に現場へ戻ります。かつて「他人に操られる兵器」だったバッキーが、同じように利用されてきた者たちをまとめる立場へ進んだことが大きな変化です。

ジョン・ウォーカー/USエージェント
政府に二代目キャプテン・アメリカへ選ばれながら、怒りによって過ちを犯し称号を失った元軍人。
スーパーソルジャー血清による能力は残っており、ヴァレンティーナの下でUSエージェントとして活動しています。
本作でも自尊心の強さや攻撃性は残っていますが、その裏には「自分は失敗者ではない」と証明したい焦りがあります。最後には誰かを倒すことで価値を証明するのではなく、ボブを救うため仲間とともに闇へ入ります。

エイヴァ・スター/ゴースト
幼少期の量子事故によって物質をすり抜ける能力を得た女性。
『アントマン&ワスプ』では身体が崩壊する苦痛に苦しんでいましたが、本作では能力をかなり安定して制御しています。
序盤では任務としてアントニアを殺すほど割り切った工作員ですが、自分も使い捨てにされると知り、次第に他のメンバーと協力。最終的にはニュー・アベンジャーズの一員になります。

アレクセイ・ショスタコフ/レッド・ガーディアン
ロシアが生み出したスーパーソルジャーで、エレーナとナターシャの偽装家族における父親役。
過去の栄光を語る癖は変わりませんが、本作ではエレーナが孤独を抱えていることを知り、実際に彼女を助けに向かいます。
戦闘力だけでなく、ばらばらなチームへ家族的な空気を作る存在でもあります。ミッドクレジットでシリアル箱に載った自分を喜ぶ姿は、過去ではなく現在の仲間と新しい居場所を得たことを象徴しています。

アントニア・ドレイコフ/タスクマスター
レッドルームの支配者ドレイコフの娘で、身体を改造されタスクマスターとして利用された人物。
『ブラック・ウィドウ』終盤で洗脳から解放されましたが、本作ではヴァレンティーナの工作員となっています。地下施設でエイヴァに射殺され、チーム結成前に死亡します。
彼女の死は、ヴァレンティーナが工作員を人間ではなく交換可能な道具として扱っていることを最初に突きつけます。

ボブ/ロバート・レイノルズ/セントリー/ヴォイド
本作でMCUへ初登場する最重要人物。
薬物依存や自己否定を抱えていた普通の男性でしたが、人生を変えるためセントリー計画へ志願。実験によって規格外の力を得ます。
セントリーとしてはサンダーボルツ全員が同時に挑んでも相手にならないほど強力ですが、その力は彼の心の傷まで増幅し、破壊的なヴォイドを生みます。
重要なのは、セントリーとヴォイドが単純な善人格・悪人格ではなく、どちらもボブ自身の一部であることです。最後は仲間に受け入れられることでヴォイドの支配から戻ります。

ヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ
CIA長官であり、これまで複数作品の裏で工作員を利用してきた人物。
『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』ではジョンをUSエージェントとして採用し、『ブラック・ウィドウ』のポストクレジットではエレーナへクリント暗殺を依頼。『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ではCIA長官として登場しました。
本作では工作員を処分し、ボブをセントリーとして商品化し、最後にはサンダーボルツの功績まで自分の政治的利益に変えます。
武力ではなく権力・情報操作・ブランド化を武器にする敵です。
重要アイテム・組織
O.X.E.グループ
ヴァレンティーナと関係する企業組織。秘密施設で危険な人体実験を行い、彼女に対する議会調査の中心となります。
政府、情報機関、民間企業の境界を利用して行われる非合法計画の象徴です。
セントリー計画
人工的に圧倒的な超人を生み出そうとした極秘人体実験。
多数の被験者が失敗する中、ボブだけが生き残り、従来のスーパーソルジャーを大きく超える力を得ます。
MCUで何度も繰り返されてきた**「キャプテン・アメリカ級の存在を人工的に作ろうとする試み」**の、最も危険な到達点です。
セントリーとヴォイド
セントリーはボブが実験で得た超人的な状態で、飛行、怪力、圧倒的な耐久力を持ちます。
対してヴォイドは、ボブが抱える孤独、自己嫌悪、恐怖、依存などが力とともに増幅された闇の側面です。ニューヨークを暗闇で覆い、人々を自分の最悪の記憶へ閉じ込めます。
最終的に必要だったのはヴォイドを物理的に倒すことではなく、ボブが一人ではないと理解することでした。
ウォッチタワー
ヴァレンティーナが所有するニューヨークの拠点で、正体は旧アベンジャーズ・タワーです。
『スパイダーマン:ホームカミング』で売却された後の所有者が本作で初めて判明します。最終的にはニュー・アベンジャーズの拠点となり、旧チームから新世代へ象徴的な場所が引き継がれます。
サンダーボルツ/ニュー・アベンジャーズ
「サンダーボルツ」はエレーナの幼少期のサッカーチームから取られた即席の名前です。
一方「ニュー・アベンジャーズ」は、ヴァレンティーナが自分の失脚を防ぐため記者会見で勝手に与えた名称です。
どちらも最初は外部から与えられた名前に近いものですが、メンバーが自分たちの意思で一緒に活動することで、本当のチーム名へ変わっていきます。
MCU的に重要なポイント
1. フェーズ5の最終作と新アベンジャーズ誕生
『エンドゲーム』後、MCUでは長く正式なアベンジャーズが不在でした。
本作の最後でエレーナ、バッキー、ジョン、エイヴァ、アレクセイ、そしてボブを中心とするニュー・アベンジャーズが誕生し、再び「アベンジャーズ」を名乗るチームが現れます。
2. エレーナが新世代の中心へ
『ブラック・ウィドウ』ではナターシャの妹として登場したエレーナが、本作では物語の中心人物になります。
ナターシャの代役ではなく、自分自身も傷ついた人物だからこそ他者を見捨てないという形で、チームをつなぐ存在へ成長します。
3. セントリー/ヴォイドの登場
MCUに従来のスーパーソルジャーとは比較にならない強力な存在が加わりました。
ただしボブは、力を使えば再びヴォイドが現れる危険を抱えます。そのため「最強だから何でも解決できる」キャラクターではなく、圧倒的な力と精神的危うさを同時に持つ存在です。
4. 旧アベンジャーズ・タワーの伏線回収
『ホームカミング』以来不明だったアベンジャーズ・タワーの買い手がヴァレンティーナ側だったことが判明します。
さらにその建物がニュー・アベンジャーズの拠点となり、初代アベンジャーズの象徴が新チームへ引き継がれます。
5. ヴァレンティーナの計画がついに表面化
これまで複数作品で少しずつ登場してきたヴァレンティーナが、本作で初めて物語の中心へ出ます。
ニック・フューリーがヒーローを信頼して集めたのに対し、彼女は弱みを握り、利用し、必要なら処分します。
しかし皮肉にも、そのやり方で集まった者たちが本当のチームとなり、最後には彼女自身を監視する存在になります。
6. サム・ウィルソン側のアベンジャーズとの競合
ポストクレジットでは、サム・ウィルソンも別のアベンジャーズを集めようとしていることが明かされます。
ニュー・アベンジャーズとサム側のチームが同時に存在する可能性が生まれ、**「誰が本当のアベンジャーズなのか」**が次の問題になります。
7. ファンタスティック4との接続
ポストクレジットでは、「4」のマークを持つ異次元宇宙船が地球へ接近します。
これによってニュー・アベンジャーズとファンタスティック4が同じ大規模事件へつながることが示され、次のアベンジャーズ級クロスオーバーへの橋が架けられます。
作品のテーマ
本作の中心テーマは、**「一人では抜け出せない闇」と「失敗した人間にも次がある」**ことです。
エレーナは姉を失い、ボブは依存と自己否定を抱え、ジョンはキャプテン・アメリカとして失敗し、バッキーは人生の多くを他人に奪われました。エイヴァもアレクセイも、それぞれ別の形で「本来なりたかった自分」になれなかった人物です。
だからこそヴォイドとの最終決戦では、誰か一人の強さではなく、全員がボブのそばに残ることが答えになります。
闇があることと、闇に支配されることは同じではない。
そして過去の失敗を消す必要もありません。重要なのは、それを抱えたまま次に何を選ぶかです。
本作ではブラック・ウィドウ、ウィンター・ソルジャー、キャプテン・アメリカ、USエージェント、レッド・ガーディアン、セントリーと、多くの人物が国家や組織から名前と役割を与えられてきました。
最後の「ニュー・アベンジャーズ」ですら、最初はヴァレンティーナが自分を守るために付けた名前です。
それでも彼らがその場所に残り、仲間として活動することを自分で選んだ時、他人に与えられた役割が、自分たちの居場所へ変わります。
まとめ
『サンダーボルツ*』は、MCUの脇役やアンチヒーローを集めた作品であると同時に、「ヒーローになれなかった人々が、それでも誰かを救うことはできるのか」を描く再出発の物語です。
エレーナ、バッキー、ジョン、エイヴァ、アレクセイは、それぞれ別の作品で失敗や喪失を経験してきました。ヴァレンティーナは彼らを使い捨ての工作員として処分しようとしますが、その罠こそが逆に彼らを一つのチームへ変えていきます。
そして最大の脅威となるのは、征服者でも宇宙人でもなく、ボブ自身の中にあるヴォイドです。最終的に必要だったのは圧倒的な戦闘力ではなく、エレーナたちが彼を一人にしないことでした。
ラストではヴァレンティーナの策略によってサンダーボルツはニュー・アベンジャーズとして世界へ公表されます。さらにポストクレジットではサム・ウィルソン側のアベンジャーズとの競合、そしてファンタスティック4の船の到来まで描かれます。
フェーズ5を締めくくりながら、次のMCUへ必要な新しいヒーローチームを作る作品であり、同時に、どれだけ過去に傷や失敗があっても、誰かとつながることで次の役割を選び直せるという物語です。

