Marvel
マイティ・ソー:ラブ・アンド・サンダーのポスター

ソー:ラブ&サンダー

Thor: Love and Thunder / 2022年

『ソー:ラブ&サンダー』はMCU公開順第29作、フェーズ4の作品であり、多くの家族や仲間を失い続けたソーが、「もう傷つかないために誰も愛さない」のではなく、もう一度誰かを愛し、その人生を引き受けることを選ぶ物語です。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』の最後でニュー・アスガルドの王位をヴァルキリーへ託したソーは、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと宇宙を旅していました。しかし自分が何のために生きるのかは見つけられないままです。そこへ、神々を次々と殺害するゴア/ゴッド・ブッチャーが現れ、さらにかつての恋人ジェーン・フォスターが、再生したムジョルニアを持つマイティ・ソーとして戻ってきます。

本作では、ネクロソード、オムニポテンス・シティ、ゼウス、エタニティなどを通してMCUの「神々」の世界が大きく広がる一方、中心にあるのはソーとジェーン、そして娘を失ったゴアという、愛する者を失った三人が喪失をどう受け止めるかという非常に個人的な物語です。


詳しいあらすじ

1. 娘を失ったゴアと、何もしてくれなかった神

乾ききった惑星で、ゴアは幼い娘とともに神へ祈りながら生き延びようとしていました。しかし食料も水もなく、娘は父の腕の中で死亡します。

その直後、ゴアは自分が崇拝してきた神ラプーのもとへ導かれます。ゴアは救いを求めますが、ラプーは信者の苦しみに関心を示さず、むしろ自分に仕える者などいくらでもいると笑います。

信仰を否定したゴアへ、近くにあったネクロソードが呼びかけます。ゴアはその剣でラプーを殺害し、すべての神を滅ぼすと誓います。

ゴアの出発点は単純な権力欲ではありません。神を信じ続けたのに娘を救ってもらえなかった絶望が、神そのものへの復讐へ変わった人物です。


2. ガーディアンズと旅するソー

『エンドゲーム』後、ソーはスター・ロード、ロケット、グルート、ドラックス、ネビュラ、マンティスらガーディアンズと宇宙を旅していました。

身体は再び鍛え直され、戦闘になれば圧倒的な力を発揮します。しかし精神的にはまだ、自分の進む方向を決められていません。多くの人を失った結果、誰かと深く関わればまた失うと考え、心を閉じています。

ガーディアンズの戦いへ参加しても、ソーは一人で敵を倒せるほど強すぎるため、チームの一員というより「助っ人」に近い状態です。

『バトルロイヤル』で王となり、『エンドゲーム』で王位を手放したソーは、ここで初めて**「役目がない自由の中で、自分は何を望むのか」**を探すことになります。


3. 神々が殺されている――シフからの救難信号

宇宙各地から多数の救難信号が届き、ガーディアンズは複数の惑星が襲われていることを知ります。その中に、長く消息が描かれていなかったアスガルドの戦士シフからの通信がありました。

ソーはガーディアンズと別れ、コーグとともにシフのもとへ向かいます。

そこで見つけたのは、巨大な神ファリガーの遺体と、片腕を失って倒れているシフでした。犯人は「神殺し」の異名を持つゴア。次の標的として地球のニュー・アスガルドが危険にさらされていることが分かります。

ソーは目的を探す旅を中断し、再び守るべき人々のもとへ向かいます。


4. ステージ4のがんと向き合うジェーン・フォスター

一方、地球では天体物理学者ジェーン・フォスターが深刻ながんを患っていました。

治療を受けながらも研究を続けていますが、病状はステージ4まで進行しており、一般的な治療だけでは回復が難しい状態です。ダーシー・ルイスも彼女を心配しますが、ジェーンは不安を冗談で隠し、研究者らしく別の可能性を探そうとします。

そしてアスガルドの神話やムジョルニアに治癒の可能性があるのではないかと考え、ニュー・アスガルドを訪れます。

かつてソーの世界を外側から研究していたジェーンが、今度は自分の命を救う可能性を求めてアスガルドの魔法へ近づくことになります。


5. ムジョルニアがジェーンを選ぶ

ニュー・アスガルドには、ヘラによって砕かれたムジョルニアの破片が観光資源として保管されていました。

ジェーンが破片へ近づくと、ムジョルニアは反応し、砕けた欠片が再び一つに集まります。そしてジェーンはムジョルニアの力を得て、マイティ・ソーへ変身します。

後に分かる重要な理由が、ソーとジェーンが交際していた頃の出来事です。ソーはムジョルニアへ、冗談のように**「ジェーンをいつも守ってくれ」**と頼んでいました。その言葉が魔法として残り、病に苦しむジェーンを守るためムジョルニアが再び動き出したと考えられます。

第1作でソー自身を選んだムジョルニアが、今度はジェーンを新たな「ソー」として選びます。


6. ニュー・アスガルドを襲うゴア

現在のニュー・アスガルドは、ヴァルキリーが王として統治しながら、地球社会と共存する観光都市へ変化していました。

そこへゴアが影から生み出した怪物たちを送り込みます。ヴァルキリーや住民が応戦し、マイティ・ソーとなったジェーンもムジョルニアの破片を自在に飛ばして戦います。

遅れて到着したソーは、壊れたはずのムジョルニアと、それを持つジェーンを見て驚きます。久しぶりの再会であるうえ、元恋人が自分と同じ「ソー」になっていたからです。

戦闘では敵を退けますが、ゴアの本当の目的は別にありました。彼はアスガルドの子どもたちを影へ連れ去ります。


7. 子どもたちを人質にしたゴア

誘拐された子どもたちは、光の届かないシャドウ・レルムへ閉じ込められます。

その中にはヘイムダルの息子アクセルもいました。彼は父と似た能力を使って遠くのソーと意識をつなぎ、子どもたちが生きていることを伝えます。

ソーは必ず助けに行くと約束しますが、ゴアがどこにいるのか、どう対抗すればよいのかが分かりません。

そこでソー、ジェーン、ヴァルキリー、コーグは、宇宙中の神々が集まるオムニポテンス・シティへ向かい、ゴアに対抗する神々の軍勢を集めようと考えます。

ここから戦いは「ニュー・アスガルドを守る事件」から、神々全体が狙われる宇宙規模の危機へ広がります。


8. ゼウスとオムニポテンス・シティ

オムニポテンス・シティには、さまざまな文明の神々が集まっていました。その中心にいるのが雷を操る神ゼウスです。

ソーはゴアの脅威を訴え、神々に協力を求めます。しかしゼウスは、ゴアが自分たちの場所へたどり着けない限り問題ないと考え、戦うことを拒否します。

ゴアが「神は自分たちを救わない」と絶望した直後に、実際の神々も他者が殺されている状況を無視して享楽を続けている。ここでゴアの主張が完全な妄想ではないことが示されます。

ソーはかつて憧れていたゼウスに失望します。神であることと、他者を守るに値する存在であることは同じではないと分かる場面です。


9. ゼウスとの戦いとサンダーボルト強奪

ゼウスはソーたちを拘束し、ゴアへオムニポテンス・シティの場所を知られることを恐れて、帰すことすら拒否します。

戦闘になり、ゼウスの攻撃でコーグの岩石の身体は砕かれますが、顔だけは無事でした。ソーはゼウスの武器サンダーボルトを奪い、それを投げ返してゼウスを倒します。

ソーたちは神々の軍勢を得ることには失敗したものの、サンダーボルトを持って脱出します。

かつてソーは「神々の世界の偉大な先輩」としてゼウスを見ていました。しかし実際に会ったことで、肩書や神格ではなく、危険な時に誰を守ろうとするかが英雄を決めるという考えへ進みます。


10. ソーとジェーンが向き合う、別れていた時間

シャドウ・レルムへ向かう途中、ソーとジェーンは過去の関係について話します。

二人はかつて深く愛し合っていましたが、互いに仕事や使命を優先し、傷つくことを恐れて少しずつ距離が広がりました。どちらか一方が嫌いになったわけではなく、大切だからこそ失う前に離れてしまった関係でした。

現在のソーにも同じ傾向があります。オーディン、フリッガ、ロキ、ヘイムダル、アスガルド、仲間たちを失い続け、「愛すれば失う」という経験を重ねた結果、誰かを愛すること自体から逃げています。

ジェーンとの再会は、ゴアとの戦いだけでなく、ソーが閉ざしてきた心へ再び向き合う機会になります。


11. シャドウ・レルム――ゴアが狙っていたのはストームブレイカー

一行はシャドウ・レルムへ入り、ゴアと戦います。ほとんど色のない世界では影の力が最大限に働き、ゴアは地形そのものへ溶け込むように襲いかかります。

戦いの中で、ゴアが子どもたちを誘拐した本当の狙いが判明します。

彼が必要としていたのはソー自身ではなく、ストームブレイカーでした。ストームブレイカーはビフレストを呼び出せるため、宇宙の中心に存在するエタニティへの門を開く鍵になります。

エタニティへ最初に到達した者には一つの願いが与えられる。ゴアはその力で、すべての神々の消滅を願おうとしていたのです。


12. ムジョルニアの力がジェーンの命を削っていた

戦いの末、ヴァルキリーは重傷を負い、ゴアはストームブレイカーを奪って逃走します。ソーたちはニュー・アスガルドへ戻ります。

そこでソーは、ジェーンががんを患っていることを初めて知ります。

さらに医師から、ムジョルニアを使ってマイティ・ソーになるたび、ジェーンの身体が治療に使う力まで消耗し、病状が悪化していると知らされます。変身している間は強大な神の力を持てても、人間へ戻れば以前より弱ってしまうのです。

ジェーンにとってムジョルニアは「病気を治す奇跡」ではありませんでした。むしろ残された命を何のために使うかを選ばせる力になっていきます。


13. ソーはジェーンに「生きること」を選んでほしい

ゴアを止めなければ神々が滅びます。しかし再びムジョルニアを使えば、ジェーンの命が尽きる可能性があります。

ソーは一人でゴアを追うことを決め、ジェーンには治療を続けてほしいと頼みます。

以前のソーなら「戦士として戦うこと」を尊重したかもしれません。しかし現在の彼は、英雄として名誉ある死を迎えることより、愛する人に生きていてほしいと願います。

そしてジェーンへ、自分は再び傷つくことになっても彼女を愛したいという気持ちを伝えます。

本作でソーが探していた「次に何をするか」の答えは、新しい使命や王位ではなく、誰かを愛することから逃げないことでした。


14. 子どもたちへ分け与えられるソーの力

ソーはゼウスのサンダーボルトを使い、単身でゴアを追います。

エタニティへの門の前では、誘拐された子どもたちが大量の影の怪物に囲まれていました。ソー一人ですべてを守るのは難しい状況です。

そこでソーは、自分の力を一時的に子どもたちへ分け与えます。身近にある棒やぬいぐるみなどが武器となり、子どもたちは雷の力を使って怪物たちへ立ち向かいます。

第1作ではオーディンから「ふさわしい者」へ力を与えられたソーが、今度は自分自身の意思で他者へ力を渡します。力を独占する神ではなく、人を信じて力を託す神になったことを示す場面です。


15. ジェーンの最後の変身――ネクロソードを破壊する

治療を続ければ生きられる可能性が残るジェーンでしたが、ソーが一人で戦っていることを知り、自分で最後の選択をします。

ムジョルニアを呼び、再びマイティ・ソーとなって戦場へ向かいます。

ゴアとの決戦でジェーンは、ムジョルニアを再び無数の破片へ分解し、その欠片でネクロソードを封じ込めて破壊します。剣を失ったことでゴアの力と呪いの源は失われます。

しかしストームブレイカーによる門はすでに開き、ゴアはエタニティへ到達します。

そしてジェーン自身も限界を迎えます。これは「死にたいから戦った」のではなく、自分に残された時間を、自分が正しいと思うことへ使うと決めた最後の戦いです。


16. エタニティ――復讐ではなく愛を選ばせる

エタニティの前で、ゴアはついに願いをかなえられる立場になります。

ソーには、もう力ずくで止める余裕がありません。そこで彼はゴアへ、神々への復讐ではなく、本当に望んでいるものを選ぶよう語りかけます。

ゴアが本当に取り戻したかったのは、神のいない宇宙ではありません。失った娘です。

ソー自身もゴアを殴り続けるのではなく、死にかけているジェーンのそばへ行きます。復讐より愛を選ぶ姿を目の前で見たゴアは、最後に願いを変えます。

エタニティは娘を蘇らせます。ゴアを止めた決定打は、より強い神の力ではなく、彼に「愛した者を思い出させること」でした。


17. ジェーンの死と、ゴアがソーへ託した娘

ネクロソードの呪いに蝕まれていたゴアにも、残された時間はありませんでした。

蘇った娘が一人になることを心配するゴアへ、ソーは彼女を守ると約束します。ゴアは娘をソーへ託して死亡します。

そしてジェーンも、人間の姿へ戻ったままソーの腕の中で最期を迎えます。ソーはもう、喪失を避けるために距離を取ることはしません。最後までジェーンを愛し、彼女の死を受け止めます。

ゴアとソーはどちらも愛する者を失った人物です。しかしゴアは喪失から復讐へ進み、ソーは最後に**「また失うとしても愛する」**道を選びます。


18. “ラブ&サンダー”――父親になったソー

その後、ニュー・アスガルドにはマイティ・ソーとなったジェーンを称える像が建てられます。ヴァルキリーは王として町を守り、子どもたちにも戦うための訓練が行われています。

コーグも新たなパートナードウェインと出会い、家族を築きます。

そしてソーは、ゴアの娘をラブとして育てるようになります。以前は自分が何を求めているのか分からず宇宙をさまよっていましたが、今は守るべき一人の子どもと日常を持っています。

戦いへ向かう時、ラブがストームブレイカーを持ち、ソーは修復されたムジョルニアを使います。

二人は宇宙で人々を助ける存在となり、物語は彼らを**「ラブ&サンダー」**と呼んで締めくくられます。


ミッドクレジットシーン

ゼウスがヘラクレスへソー討伐を命じる

ソーにサンダーボルトで貫かれたゼウスは生きていました。

彼は、人間たちが神を崇拝するよりスーパーヒーローへ憧れるようになったことへ怒り、「もう一度神々を恐れさせる」ため復讐を決意します。

そして息子ヘラクレスを呼び、ソーを倒すよう命じます。

ギリシャ神話側の主要な神ヘラクレスがMCUへ初登場し、ソーとオリンポスの神々の対立が今後へ残されます。


ポストクレジットシーン

ジェーンがヴァルハラへ到着する

死亡したジェーンは、美しい世界で目を覚まします。

そこへ現れたのは、『インフィニティ・ウォー』でサノスに殺されたヘイムダルでした。ヘイムダルはジェーンへ感謝し、彼女をヴァルハラへ迎え入れます。

人間として生まれたジェーンですが、最後はアスガルドの戦士として戦い抜き、死後はヴァルハラへ到達しました。肉体的には死亡したものの、ジェーン・フォスターの存在そのものが完全に消えたわけではないことを示す場面です。


主要キャラクターまとめ

ソー

アスガルドの雷神。『バトルロイヤル』から『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』にかけて、父、母、ロキ、ヘイムダル、故郷、多くの民を失い続けました。

本作開始時は王位もヴァルキリーへ譲り、ガーディアンズと旅をしながら「次に何をするべきか」を探しています。しかし本当に避けていたのは使命ではなく、誰かを愛してまた失うことでした。

ジェーンとの再会と別れ、ゴアとの対話を経て、最後にはゴアの娘ラブを育てる父親となります。戦士、王に続き、ソーの人生に「親」という新しい役割が加わります。

ジェーン・フォスター / マイティ・ソー

天体物理学者で、ソーの元恋人。ステージ4のがんを患い、治療の可能性を求めてニュー・アスガルドを訪れたことでムジョルニアに選ばれます。

マイティ・ソーへ変身すると健康な神の姿になりますが、変身のたびに人間の身体は弱っていきます。それでも最後は自分の意思で戦場へ戻り、ネクロソードを破壊します。

本作のジェーンは「ソーの恋人」ではなく、自分自身の選択でヒーローになったもう一人のソーです。死後はヴァルハラへ迎えられます。

ゴア / ゴッド・ブッチャー

娘を失い、信仰していた神にも見捨てられたことで、すべての神々を憎むようになった人物です。

ネクロソードの力を得て神々を殺害し、最終的にはエタニティへ「すべての神を消す」願いをかなえようとします。

一方で、彼の怒りの根底にあるのは娘への愛です。最後にはソーの姿を見て復讐を捨て、娘を蘇らせることを選びます。本作の敵でありながら、ソーと同じ「愛する者を失った人物」でもあります。

ヴァルキリー

ニュー・アスガルドの王。『エンドゲーム』でソーから役割を託され、現在は国家運営や地球との外交を担っています。

ゴアとの戦いでは前線にも立ちますが、シャドウ・レルムで重傷を負います。戦士としてだけでなく、アスガルドの民が新しい土地で生き続けるための指導者として定着しています。

コーグ

ソーと行動するクロナン人の友人。本作全体の物語を語る語り手でもあります。

ゼウスに身体を砕かれても顔だけで生存し、最終的には同族のドウェインと家族を作ります。ソー以外の登場人物にも「愛」の結末が与えられる存在です。

ゼウス

オムニポテンス・シティの中心にいるオリンポスの神。ソーがかつて憧れていた存在ですが、ゴアに殺される他の神々を助けようとはしません。

ソーに敗れた後は復讐を決意し、息子ヘラクレスへソー討伐を命じます。

ラブ

ゴアの娘。物語冒頭で死亡しますが、ゴアがエタニティへ願ったことで蘇ります。

父の死後はソーに育てられ、ストームブレイカーを使って彼とともに人助けをしています。ゴアが失った愛と、ソーが再び受け入れた愛の両方を象徴する存在です。

重要アイテム・組織

ネクロソード

ゴアへ神を殺す力を与える黒い剣。影の怪物を生み出すこともできますが、使用者を蝕む呪いを持っています。

ジェーンがムジョルニアの破片を利用して破壊し、ゴアは力の源と同時に自分を蝕んでいた存在から解放されます。


ムジョルニア

ヘラによって破壊されたソーの旧武器。本作では、かつてソーが「ジェーンを守れ」と与えた言葉に応えるように再生し、ジェーンをマイティ・ソーへ変えます。

最後にはジェーンの死後、再びソーが使用します。


ストームブレイカーとビフレスト

『インフィニティ・ウォー』で作られたソーの武器。強力な武器であるだけでなく、ビフレストを呼び出して宇宙を移動できます。

ゴアはこの能力を利用し、エタニティへの門を開くためにストームブレイカーを奪います。


オムニポテンス・シティ

宇宙中のさまざまな神々が集まる都市。ゼウスを中心に、多数の神が存在します。

本作によって、アスガルドやエジプト神話だけではなく、異なる文化・文明の神々が同じ宇宙に実在していることが改めて可視化されます。


エタニティ

宇宙の中心に存在する超越的な存在。最初にたどり着いた者の願いを一つかなえる力を持っています。

ゴアは神々の全滅を願うために向かいますが、最終的には娘の復活を願います。インフィニティ・ストーンとは別系統の、MCU宇宙に存在する極めて大きな力です。


MCU的に重要なポイント

1. ジェーン・フォスターがマイティ・ソーになる

第1作・『ダーク・ワールド』でソーの恋人として描かれたジェーンが、自らムジョルニアを持つヒーローになります。最後は死亡しますが、ヴァルハラにいることが明確に描かれています。


2. ニュー・アスガルドはヴァルキリーの国として定着

ソーは王位へ戻らず、ヴァルキリーが引き続き王を務めます。アスガルドは「ソーが統治する王国」ではなく、地球上で独自に存続する国家へ変化しています。


3. MCUの「神々」の世界が拡張される

ゼウス、オムニポテンス・シティ、多数の神々が登場し、アスガルド以外にも神と呼ばれる存在が宇宙中にいることが示されます。


4. エタニティという新たな宇宙的存在

願いそのものを実現できるエタニティが登場します。インフィニティ・ストーンやセレスティアルズとは別に、宇宙にはさらに上位の超越的存在がいることを示す設定です。


5. ヘラクレスがMCUへ初登場

ミッドクレジットでゼウスの息子ヘラクレスが登場し、ソーを倒す使命を与えられます。オリンポスの神々とソーの関係が今後へ持ち越されます。


6. ソーがラブの父親になる

本作の最後でソーはゴアの娘を引き取り、二人で宇宙を旅しながら人々を助けます。『エンドゲーム』後に「自分が何者なのか」を探していたソーが、戦士や王とは違う新しい生き方を得ます。


作品のテーマ

『ソー:ラブ&サンダー』の中心テーマは、タイトル通り**「愛」**です。

ゴアは娘を愛していたからこそ、その娘を救わなかった神々を憎みます。ジェーンは残された時間が短いと知りながら、自分が愛する人々を守るためマイティ・ソーとして戦います。そしてソーは、多くの人を失った経験から心を閉ざしていましたが、ジェーンとの再会によって「失うことを恐れて愛さない人生」から抜け出します。

重要なのは、ソーがジェーンを救えなかったことです。彼女は最後に死に、また大切な人を失います。それでも以前のように心を閉じるのではなく、ゴアの娘を引き取り、新しい愛を選びます。

喪失を避ける方法は誰も愛さないことではない。失う可能性ごと受け入れて、それでも愛することを選ぶ。

それが本作でソーがたどり着く答えです。


まとめ

『ソー:ラブ&サンダー』は、神々を殺すゴアとの戦いを描きながら、実際には喪失によって心を閉ざしたソーが、もう一度愛することを選ぶまでの物語です。

ジェーンはがんを抱えながらムジョルニアに選ばれ、マイティ・ソーとして最後まで自分の人生を自分で選びます。ゴアは神々への復讐を続けますが、最後にはエタニティへ娘の復活を願い、愛へ戻ります。そしてソーはジェーンを失っても再び孤独へ逃げず、ゴアの娘ラブを育てる父親になります。

MCU全体では、マイティ・ソー、ゼウス、ヘラクレス、オムニポテンス・シティ、エタニティなど神々・宇宙側の設定を拡張する作品です。同時にソー個人の物語としては、戦士になること、王になることを経て、「誰かと生きること」を選んだ新しい段階へ進む一作となっています。