マーベルズ
The Marvels / 2023年
『マーベルズ』はMCU公開順第33作、フェーズ5の作品であり、宇宙を一人で守ってきたキャロル・ダンヴァース/キャプテン・マーベルが、モニカ・ランボーとカマラ・カーン/ミズ・マーベルとチームを組み、自分の過去の行動が生んだ結果へ向き合う物語です。
キャロルが『キャプテン・マーベル』後にスプリーム・インテリジェンスを破壊した結果、クリー帝国は内戦へ陥り、母星ハラは荒廃。その復讐を誓うダー・ベンは古代の量子バンドを使い、他の惑星から空気・水・恒星のエネルギーを奪ってハラを再生しようとします。
一方、キャロル、モニカ、カマラには能力を使うたび互いの居場所が入れ替わる異常現象が発生。圧倒的な力を持つキャロルも一人では戦えず、三人は連携を学んで一つのチームになります。『ワンダヴィジョン』『ミズ・マーベル』の主人公を映画側へ合流させ、さらに若手ヒーローの新チームとX-MEN側のマルチバースへつなぐ重要作でもあります。
詳しいあらすじ
1. キャロルがスプリーム・インテリジェンスを破壊した代償
『キャプテン・マーベル』後、キャロル・ダンヴァースはクリーを支配していた人工知能スプリーム・インテリジェンスを破壊します。自分を洗脳していた体制を終わらせるための行動でしたが、指導者を失ったクリー帝国は内戦へ陥り、母星ハラの大気・水・恒星まで深刻な打撃を受けます。
キャロルはクリーを自由にするつもりでしたが、結果として世界を不安定にした罪悪感からハラへ戻れず、一人で宇宙各地の問題を背負い続けます。本作の彼女は、力があっても自分の失敗を正面から見られない人物として始まります。
2. ダー・ベンと量子バンド
荒廃したクリー帝国では、新たな指導者ダー・ベンが台頭していました。
彼女はスプリーム・インテリジェンス崩壊後の混乱を生き延びたクリー人で、キャロルこそハラを破壊した張本人だと考えています。そのためクリー側では、キャロルは英雄ではなく**「破壊者(アナイアレーター)」**と呼ばれています。
ダー・ベンは古代遺跡から、強大な宇宙エネルギーを扱える腕輪量子バンドの片方を発見します。さらにロナン・ジ・アキューザーが使っていたものと同系統のハンマー状兵器を組み合わせ、通常の宇宙航行に使われるジャンプポイントを強制的に開けるようになります。
ただし量子バンドは本来一対です。もう片方は地球のジャージーシティにいる少女、カマラ・カーンが身につけていました。

3. キャロル、モニカ、カマラに起きる“入れ替わり”
宇宙ではキャロルが異常なジャンプポイントを調査し、地球近くの宇宙ステーションS.A.B.E.R.ではモニカ・ランボーが別の異常地点を調べていました。
モニカは『ワンダヴィジョン』でウエストビューのヘックスを何度も通過した結果、光や電磁エネルギーを知覚・吸収・透過できる特殊能力を獲得しています。現在はニック・フューリーのもとで宇宙任務に就いていました。
一方、ジャージーシティではカマラ・カーン/ミズ・マーベルが、自分と憧れのキャプテン・マーベルが共闘する妄想を絵に描いています。
三人がほぼ同時に能力と異常なジャンプポイントへ接触した瞬間、突然それぞれの場所が入れ替わります。
キャロルはカマラの家へ、カマラは宇宙空間へ、モニカは別の場所へ飛ばされ、能力を使うたびに三人が次々と転送されます。ダー・ベンが量子バンドでジャンプポイントを不安定化させた結果、光に関係する三人の能力が量子的に絡み合ってしまったのです。

4. カーン家にキャプテン・マーベルが現れる
突然自宅へ現れたキャプテン・マーベルを見てカマラは大興奮しますが、ダー・ベン配下のクリー兵まで入れ替わりに巻き込まれ、カーン家のリビングで戦闘が発生。母ムニーバ、父ユスフ、兄アーミルも危険にさらされます。
カマラにとってキャロルは理想のヒーローでしたが、ここから彼女は「完璧な英雄」ではなく、失敗や秘密を抱える一人の人間としてキャロルを知っていきます。

5. モニカとキャロル――再会しても埋まらない距離
混乱の末、キャロル、モニカ、カマラはS.A.B.E.R.で合流します。
キャロルにとってモニカは、親友マリア・ランボーの娘であり姪のような存在です。しかし1995年に宇宙へ旅立ったキャロルは長期間地球へ戻らず、その間にモニカはブリップで5年間消滅し、帰還時には母マリアも癌で亡くなっていました。
モニカにとってキャロルは今でも家族ですが、最も会いたかった時にいなかった人でもあります。ダー・ベンとの戦いと並行して、この二人の関係修復が進みます。

6. 三人で戦うための訓練
三人は、誰かが光に関係する能力を使うと別の人物と位置が入れ替わると確認します。キャロルは飛行とフォトンブラスト、モニカは光エネルギーの吸収・透過・放出、カマラは硬質光を形成します。
そこで三人は入れ替わりを前提に訓練し、誰がどこへ現れるかを予測して攻撃や救助を引き継げるようになります。最初は弱点だった現象を武器へ変える過程を通じ、キャロルも自分だけで全部解決せず、他人へ任せることを学び始めます。

7. ターナックス――スクラルとクリーの和平交渉
ダー・ベンの次の標的を追い、三人はスクラル難民が暮らす惑星ターナックスへ向かいます。
そこではクリーとスクラルの和平交渉が行われていました。『キャプテン・マーベル』でキャロルが助けたスクラルたちは、その後も長い間クリーとの対立から逃げ続けています。
しかしダー・ベンは和平を認めず、量子バンドで巨大なジャンプポイントを開きます。彼女の目的はターナックスの大気を吸い上げ、ハラへ移すことでした。
ハラには生きるための空気が足りない。だから他の惑星から奪う。ダー・ベンの行動は大量虐殺ですが、本人にとっては滅びかけた自国民を救うための報復でもあります。
キャロルたちは避難を進めますが、すべてのスクラルを救うことはできません。カマラは最後まで残された人々を助けようとしますが、キャロルは今救える人々を優先して撤退を決断します。
憧れのヒーローなら全員を救ってくれると思っていたカマラは、ここで初めて**「ヒーローでも全員を救えない」**という現実を突きつけられます。

8. ヴァルキリーへ託されるスクラル難民
救出できたスクラル難民は、キャロルの旧友ヴァルキリーへ託されます。
ニュー・アスガルドの王ヴァルキリーがビフレストで現れ、生き残った難民たちを安全な場所へ移送します。
短い登場ですが、故郷を失った人々を受け入れてきたニュー・アスガルドとスクラル難民の問題がつながります。同時にダー・ベンが、キャロルの大切な世界を一つずつ狙っていることも明確になります。

9. キャロルが隠していた「破壊者」の過去
ターナックスの被害を見たカマラとモニカは、ダー・ベンがなぜキャロルをここまで憎むのかを問いただします。
ここでキャロルは、スプリーム・インテリジェンスを破壊した後に何が起きたのかを初めて本格的に語ります。
キャロルはクリーの支配体制を終わらせれば人々は自由になると考えていました。しかし統治システムを失った帝国は内戦へ突入し、ハラの資源と環境は破壊されました。キャロルは自分の行動が原因だと感じ、問題を解決するよりもハラから距離を置いてしまいます。
彼女が地球へ戻らず、モニカとの約束を果たせなかった背景にも、この罪悪感と「宇宙中の問題を自分が解決しなければならない」という意識がありました。
つまりキャロルは強すぎるから孤独なのではなく、失敗を他人に見せることを恐れて、自分から孤独を選んでいたことが分かります。

10. アラドナ――キャロルの“夫”ヤン王子
ダー・ベンが次に狙うと考えた三人は、水の豊富な惑星アラドナへ向かいます。
アラドナでは歌と踊りが言語の中心となっており、国民たちは会話するように歌います。そしてキャロルは、過去の外交上の事情からアラドナのヤン王子と結婚していたことが判明します。
これは恋愛による一般的な結婚ではなく、外交的な取り決めに近いものでしたが、モニカとカマラにとってはキャロルの知らなかった一面です。
三人はアラドナの住民と協力してダー・ベンを迎え撃ちます。しかしダー・ベンは再び量子バンドを使い、海から大量の水をジャンプポイントへ吸い込み、ハラへ送り始めます。
ターナックスでは空気、アラドナでは水。ダー・ベンの計画が、キャロルの大切な世界から生命維持に必要なものを奪い、ハラへ移植することだと明確になります。


11. ダー・ベンの本当の最終標的
アラドナでの戦いの後、モニカはダー・ベンの行動パターンを整理します。
ハラに足りないのは空気と水だけではありません。内戦と環境崩壊によって、ハラの恒星も弱まり、惑星へ十分な光と熱を与えられなくなっています。
そしてダー・ベンが「キャロルの大切な場所」を狙っているなら、次の候補は一つです。
地球の太陽。
ダー・ベンは地球そのものを破壊する必要すらありません。太陽のエネルギーを奪えば地球は生存不能になります。
ここで事件はキャロル個人の過去やクリーの復讐を越え、地球全体の滅亡へ直結します。

12. S.A.B.E.R.を救うフラーケンの子どもたち
ダー・ベンが無理にジャンプポイントを開き続けた影響で、宇宙空間そのものが不安定になり、S.A.B.E.R.も危険な状態になります。
さらにステーション内ではグースが大量の卵を産み、そこから多数のフラーケンの子どもたちが誕生していました。
避難用ポッドの数が足りず、全職員を脱出させることができない中、ニック・フューリーはフラーケンの特性を利用します。フラーケンは外見こそ猫ですが、体内に非常に大きな空間を持ち、人間さえ触手で飲み込んで収納できます。
そこで職員たちはフラーケンの子どもたちに次々と飲み込まれ、そのまま脱出艇へ運ばれます。
コミカルな場面ですが、結果としてグースとその子どもたちがS.A.B.E.R.の多数の人員を救うことになります。

13. 三人が本当のチームになる
地球の太陽へ向かうダー・ベンを止めるため、キャロル、モニカ、カマラは最後の戦いへ向かいます。
ここまでに三人は何度も入れ替わりを経験し、もはや混乱するだけではありません。誰が次にどこへ現れるかを利用し、ダー・ベンへ連続攻撃を仕掛けます。
キャロルの圧倒的な火力、モニカのエネルギー制御、カマラの硬質光による足場や巨大な拳。それぞれ単独では違う能力ですが、入れ替わりによって攻撃が途切れず、一人の敵へ三方向からつながっていきます。
序盤の三人は、キャロルが一人で抱え込み、モニカが感情を隠し、カマラが理想のヒーロー像を押し付ける関係でした。ここでは互いの弱さも理解したうえで、誰か一人が主役ではないチームとして機能しています。

14. キャロルがダー・ベンへ提示する別の解決策
戦いの中で、キャロルはダー・ベンへハラを救う別の方法を提案します。
モニカの分析では、ハラの恒星は完全に消滅したわけではなく、十分なエネルギーを与えれば再活性化できる可能性がありました。そして宇宙艦隊を単独で破壊できるほどのエネルギーを持つキャロルなら、それを実行できるかもしれません。
つまり、ターナックスの空気やアラドナの水、地球の太陽を奪わなくても、キャロル自身がハラを助けられる可能性があったのです。
ダー・ベンは一度は武器を下ろすように見えます。しかしキャロルへの憎しみと長年の犠牲を手放すことができず、再び攻撃します。
彼女はハラを救いたいだけではありません。キャロルに、自分たちと同じ喪失を味わわせなければ終われないところまで復讐に支配されていました。

15. 二つの量子バンドとダー・ベンの最期
ダー・ベンはカマラからもう一つの量子バンドを奪い、左右に一対を装着します。
量子バンドは単体でもジャンプポイントを歪めるほど強力ですが、二つがそろうことでさらに莫大なエネルギーを発生させます。しかしダー・ベンの身体はその力に耐えられません。
彼女は二つのバンドを使ってキャロルたちへ攻撃しようとしますが、エネルギーが暴走してダー・ベン自身が消滅します。
さらに衝撃によって通常のジャンプポイントを越えた巨大な裂け目が開き、別の宇宙へ通じる時空の穴が形成されます。
ダー・ベンは倒れましたが、今度は二つの宇宙そのものが接触し、崩壊しかねない危機が残ります。


16. モニカが裂け目の向こう側へ残る
裂け目を調べたモニカは、自分の能力なら閉じられる可能性があると判断します。
ただし必要なエネルギーは桁違いです。そこでキャロルとカマラが量子バンドと自身の能力を使い、モニカへ大量の光エネルギーを送り込みます。
強化されたモニカは裂け目へ飛び込み、反対側から時空の穴を閉じ始めます。
作業は成功しますが、完全に閉じるためにはモニカが向こう側に残らなければなりません。キャロルが異変に気づいた時には遅く、裂け目は閉鎖。モニカは別宇宙へ取り残されます。
キャロルにとってこれは、再会できたばかりの“姪”を再び失う出来事です。しかしモニカはかつてのキャロルと同じように、自分が犠牲になる可能性を理解したうえで宇宙を救う選択をします。

17. キャロルがハラの太陽を再生する
ダー・ベンとの戦いが終わった後、キャロルは約束した通りハラへ向かいます。
これまで彼女は、スプリーム・インテリジェンスを破壊した後に起きた惨状を自分の失敗として抱え込みながら、正面から修復しようとはしてきませんでした。
しかしモニカたちとの旅を通して、「失敗したから逃げる」のではなく、「自分にできることを今やる」方向へ変わります。
キャロルは弱っていたハラの恒星へ直接飛び込み、自身の膨大なエネルギーを注入して再点火させます。
ダー・ベンの復讐は止めなければなりませんでしたが、ダー・ベンが守ろうとしたハラの人々まで敵だったわけではない。キャロルが最終的に選ぶのは、敵を倒して終わることではなく、自分が壊すきっかけを作った世界を救い直すことでした。

18. キャロルがランボー家の家へ戻る
地球へ戻ったキャロルは、亡きマリアとモニカが暮らしていたランボー家の家へ移ります。
宇宙を転々としてきたキャロルにとって、地球の家族へ戻ること自体が大きな変化です。モニカは別宇宙に取り残されていますが、キャロルは彼女が戻ってくる場所を守りながら待つことを選びます。一方カマラは、今回知った“チームで戦う力”を次へ広げようとします。

19. カマラがケイト・ビショップを勧誘する
物語の最後、カマラはニューヨークでケイト・ビショップを待ち伏せします。
登場の仕方は、かつてニック・フューリーがトニー・スタークへアベンジャーズ計画を持ちかけた場面を意識したものです。
カマラは、自分たちのような若いヒーローが他にもいると話し、スコット・ラングの娘キャシー・ラングにも目をつけていることを明かします。そしてケイトへ、新しいチームに加わらないかと持ちかけます。
まだ正式なチーム名は語られませんが、コミックのヤング・アベンジャーズを強く連想させる場面です。
アベンジャーズに憧れていた少女が、今度は自分がニック・フューリーのように仲間を集める側へ回る。本作を通したカマラの大きな成長です。

ミッドクレジットシーン
別宇宙へ取り残されたモニカは、見知らぬ医療施設で目を覚まします。
目の前には、死亡したはずの母マリア・ランボーがいました。モニカは思わず母へ抱きつきますが、このマリアはモニカを知りません。
つまり彼女はMCU本編世界のマリアではなく、別宇宙に存在するマリア・ランボーです。さらに彼女は赤と白を基調としたスーツを着ており、コミックでキャロル・ダンヴァースとも深く関係するヒーロー名バイナリーを思わせる姿になっています。
そこへ青い毛に覆われた人物が現れます。
ハンク・マッコイ/ビーストです。
ビーストはモニカが別の現実から来た存在であることを分析し、チャールズにも状況を報告しなければならないと話します。演じるのはFOX版『X-MEN』シリーズでもビーストを演じたケルシー・グラマーです。
『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のプロフェッサーXに続き、今度はX-MEN側の世界そのものを思わせる場所へMCU本編の人物が入り込んだことで、MCUとX-MEN世界の本格的な接続を強く示すシーンとなっています。


主要キャラクターまとめ

キャロル・ダンヴァース / キャプテン・マーベル
テッセラクト由来のエネルギーで超人的な力を得た元空軍パイロット。『キャプテン・マーベル』後にスプリーム・インテリジェンスを破壊しますが、その後ハラが荒廃したことへ罪悪感を抱き、問題も家族との関係も一人で背負ってきました。
本作ではモニカとカマラとの共闘を通じて他者へ頼ることを学び、最後にはハラの恒星を再生して自分の過去へ向き合います。

モニカ・ランボー
マリア・ランボーの娘で、幼少期からキャロルを家族のように慕っていた人物。『ワンダヴィジョン』で光・電磁エネルギーに関係する能力を獲得しました。
キャロルが長年戻らなかったことへ複雑な感情を抱えていますが、本作で関係を修復。終盤では二つの宇宙を救うため別宇宙側へ残り、バイナリーとなったマリアとビーストに遭遇します。

カマラ・カーン / ミズ・マーベル
ジャージーシティに暮らす高校生ヒーロー。量子バンドを介して硬い光のようなエネルギーを操り、キャプテン・マーベルの熱狂的なファンでもあります。
戦いを通してキャロルを「完璧な英雄」ではなく一人の人間として理解し、自身も憧れる側から仲間を集める側へ成長。最後にはケイト・ビショップを新チームへ勧誘します。

ダー・ベン
クリー帝国の新たな指導者。スプリーム・インテリジェンス崩壊後のハラの惨状を経験し、キャロルを「破壊者」として憎みます。
量子バンドで他の惑星から空気・水・恒星エネルギーを奪いハラを救おうとしますが、復讐を捨てられず、最後は二つの量子バンドの力に耐えられず消滅します。

ニック・フューリー
現在は宇宙ステーションS.A.B.E.R.を指揮。前線での戦闘よりも、モニカやカーン家の支援、ステーションからの避難指揮を担います。カマラが最後にヒーローを集め始める姿は、かつてのフューリーを思わせます。

ヤン王子
惑星アラドナの王子。過去の外交的事情からキャロルと結婚しており、互いに信頼関係があります。キャロルが長年の宇宙活動で築いてきた人間関係を示す人物です。

グース
猫の姿をした宇宙生物フラーケン。本作では多数の子どもを産み、その体内収納能力によってS.A.B.E.R.の職員たちを避難させる重要な役割を果たします。
重要アイテム・組織
量子バンド
非常に古い一対の腕輪。片方をカマラが所有し、もう片方をダー・ベンが発見します。ダー・ベンはハンマー状兵器と組み合わせてジャンプポイントを強制的に開き、二つを同時使用した際には別宇宙へ通じる裂け目まで発生させます。
ジャンプポイント
宇宙の遠距離移動に利用されるワームホール状の航路。ダー・ベンは量子バンドでこれを無理やり巨大化し、惑星の大気や海水をハラへ転送します。乱用が最終的にマルチバース間の裂け目へ発展します。
S.A.B.E.R.
ニック・フューリーが指揮する地球近傍の宇宙拠点。モニカもここで任務に就いており、地球側の防衛体制がS.H.I.E.L.D.時代から宇宙規模へ広がっていることを示します。
ハラ
クリー帝国の母星。スプリーム・インテリジェンス破壊後の内戦で深刻に荒廃し、ダー・ベンの行動原理となります。終盤ではキャロルが弱った恒星を再活性化します。
ターナックス / アラドナ
ターナックスはスクラル難民が暮らす惑星で、ダー・ベンに大気を奪われます。アラドナは海に覆われた惑星で、今度は水を奪われます。どちらもハラ再生のために他世界を犠牲にするダー・ベンの計画を象徴します。
フラーケン
猫に酷似した宇宙生物。口から触手を伸ばし、体内へ人間や物体を収納できます。本作ではグースの子どもたちがS.A.B.E.R.からの避難に利用されます。
MCU的に重要なポイント
1. 『キャプテン・マーベル』の結末に“代償”が追加される
キャロルがスプリーム・インテリジェンスを破壊した結果、クリー帝国が内戦へ陥りハラが荒廃したことが判明します。独裁体制を倒した後に生まれる政治的・社会的な空白まで描く補完です。
2. モニカとカマラが映画側へ本格合流
『ワンダヴィジョン』で能力を得たモニカ、『ミズ・マーベル』でヒーローとなったカマラが映画作品の主要人物としてキャロルと共闘。Disney+ドラマの主人公たちが映画本編へ自然に接続します。
3. カマラのバングルが量子バンドだと判明
カマラの力を引き出したバングルが、一対の量子バンドの片方であることが明らかになります。カマラ自身のミュータント設定とは別に、バングルにも宇宙・次元へ干渉する巨大な力があります。
4. 若いヒーローの新チームが示唆される
カマラはケイト・ビショップを勧誘し、キャシー・ラングにも言及します。名称はまだ明かされませんが、ヤング・アベンジャーズ系チームの結成を強く示す場面です。
5. モニカが別宇宙へ移動する
ダー・ベンが生んだ裂け目を閉じた結果、モニカは別の現実へ取り残されます。宇宙技術と量子バンドの暴走からもマルチバースへ到達できることが示されます。
6. ビーストと“バイナリー”が登場
ミッドクレジットではハンク・マッコイ/ビーストが登場し、「チャールズ」にも言及。さらに別世界のマリア・ランボーはバイナリーを思わせる姿で現れます。MCU本編の人物がX-MEN側を思わせる世界へ直接入り込む、非常に重要な接続です。
作品のテーマ
本作の中心テーマは、「一人で全部背負う強さ」から「失敗も弱さも共有して共に進む強さ」への変化です。
キャロルは宇宙最強クラスの能力を持ちながら、スプリーム・インテリジェンスを破壊した結果への罪悪感を誰にも相談せず、モニカのもとへ戻ることさえできませんでした。彼女の問題は力不足ではなく、強いからこそ「自分で全部解決しなければならない」と考えてしまうことです。
モニカはキャロルに見捨てられたような思いを抱え、カマラはキャロルを完璧な偶像として見ています。しかし三人が一緒に戦うには、そのどちらの関係も変える必要があります。モニカは怒りを言葉にし、キャロルは失敗を認め、カマラはヒーローでも救えない人がいる現実を知ります。
三人の能力が「一人で使うと入れ替わってしまう」という設定自体がテーマを象徴しています。どれだけ強くても一人では思い通りに戦えず、互いの動きを信じた時に初めて最大の力を発揮できるのです。
またダー・ベンも、キャロルと同じく「故郷を救いたい」という責任を一人で背負っています。しかし彼女は他者を犠牲にし、復讐を手放せません。キャロルが最後にハラを救うことで、二人を分けるのは力の大きさではなく、過去の傷を未来の破壊に使うのか、修復に使うのかだと示されます。
まとめ
『マーベルズ』は、キャプテン・マーベル、モニカ・ランボー、ミズ・マーベルという別々の作品で描かれてきた三人を一つのチームへまとめながら、『キャプテン・マーベル』の結末に残されていたクリー帝国との問題を回収する作品です。
キャロルはスプリーム・インテリジェンスを倒した英雄である一方、その後のハラを救えなかった「破壊者」でもありました。ダー・ベンとの戦いを通して、自分の行動の結果から逃げるのではなく、ハラの太陽を再生することで初めて過去へ向き合います。同時にモニカとは失われた家族の時間を取り戻し、カマラには「ヒーローは完璧ではない」という現実と、それでも仲間と戦う価値を伝えます。
そして物語の先には、ケイト・ビショップやキャシー・ラングへつながる若手ヒーローチームの構想と、別宇宙へ渡ったモニカが出会うバイナリー、ビースト、そしてX-MENの存在が残されます。
宇宙規模の『キャプテン・マーベル』続編であるだけでなく、ドラマ作品から映画へのヒーロー合流、次世代チームの形成、そしてX-MENを含むマルチバース展開を一度に前進させるフェーズ5の接続作品です。

