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エターナルズのポスター

エターナルズ

Eternals / 2021年

『エターナルズ』はMCU公開順第26作、フェーズ4の作品であり、7000年以上にわたって地球で人類を守ってきた不死の戦士たちが、自分たちの本当の使命を知り、創造主セレスティアルズへ従うのか、それとも愛するようになった人類を守るのかを選ぶ物語です。現代パートは『アベンジャーズ/エンドゲーム』から約8か月後の世界を舞台にしながら、物語は紀元前5000年まで遡ります。エターナルズは、怪物ディヴィアンツから人類を守るため地球へ送られたと信じ、メソポタミア、バビロン、インド、アステカ文明など、人類史のさまざまな時代を見守ってきました。

しかし現代で明らかになるのは、彼ら自身も知らされていなかった真実です。地球は新たなセレスティアルティアマットを誕生させるための「卵」のような惑星であり、人類の人口を増やすことこそがエターナルズの本当の任務でした。本作では、

  • セルシ
  • イカリス
  • セナ
  • キンゴ
  • スプライト
  • ファストス
  • マッカリ
  • ドルイグ
  • ギルガメッシュ
  • エイジャック
  • デイン・ウィットマン
  • アリシェム
  • ティアマット
  • ディヴィアンツ
  • ユニ・マインド
  • ドーモ
  • エボニー・ブレイド

など、MCUの宇宙観を大きく広げる人物・設定が一気に登場します。そして本作の最大の特徴は、単純な善悪の戦いではないことです。人類を救えば、本来ティアマットが誕生することで生み出されるはずだった無数の新しい生命が失われる可能性がある。一方でアリシェムへ従えば、現在地球で生きるすべての人類が滅びます。

エターナルズは、「創造主へ従うこと」と「自分たちが7000年間で築いた愛や家族を信じること」の間で分裂することになります。


詳しいあらすじ

1. 紀元前5000年――エターナルズが地球へ到着する

紀元前5000年、メソポタミア。人類の集落が怪物ディヴィアンツに襲われます。そこへ巨大な宇宙船ドーモが現れ、10人のエターナルズが地球へ降り立ちます。

リーダーのエイジャック、空を飛び目からコズミック・エネルギーを放つイカリス、物質を別の物質へ変換するセルシ、武器を生み出して戦うセナ、怪力のギルガメッシュ、高速移動するマッカリ、発明家のファストス、精神を操るドルイグ、エネルギー弾を放つキンゴ、幻影を作るスプライトです。彼らは圧倒的な力でディヴィアンツを撃退し、人類へ姿を見せます。

この時点でエターナルズが理解している使命は明確です。創造主であるセレスティアルアリシェムから命じられ、地球の知的生命体である人類をディヴィアンツから守ること。人類同士の戦争や政治には介入せず、ディヴィアンツだけを排除することです。後に、この「人類を守る使命」そのものの意味が大きく反転します。


2. 人類の文明を見守るエターナルズ

エターナルズは数千年にわたって地球各地を巡り、人類をディヴィアンツから守り続けます。彼らは直接支配者になることは避けながらも、人類の文明へ少しずつ影響を与えます。セルシは人々と自然に交流し、ファストスは新しい道具や技術のアイデアを与え、スプライトは自分たちの活躍を物語として語ります。

その結果、エターナルズの存在は人類の神話や伝説の原型になっていきます。ただし、全員が人間を同じように見ているわけではありません。セルシは早い段階から人類そのものを愛するようになりますが、イカリスは使命を最優先し、ドルイグは「人間を救える力があるのに戦争を止めてはいけない」という命令へ疑問を持ち始めます。

彼らは同じ家族のように暮らしていても、人類とどこまで関わるべきかという考えは少しずつ分かれ始めていました。


3. バビロン――セルシとイカリスの愛

紀元前575年ごろのバビロンでは、エターナルズは人類とかなり近い距離で生活していました。セルシは人間の暮らしや文化へ強い興味を持ち、イカリスとの関係も深まっています。やがて二人は恋人となり、後にインドで仲間たちに見守られながら結婚します。

一方ファストスは、人類へ蒸気機関のような高度な技術を与えようとしますが、エイジャックから「まだ早い」と止められます。そこで、より簡単な農具の発明へ変更します。エターナルズは人類の文明を完全に作ったわけではありません。しかし数千年にわたってすぐ隣で観察し、ときには小さなきっかけを与えてきました。

この長い時間が重要です。現代で「地球を救うか」という問題が起きた時、彼らにとって人類は単なる任務対象ではありません。セルシをはじめ多くのエターナルズにとって、何千年も成長を見守り続けた家族に近い存在になっているのです。


4. 1521年――最後のディヴィアンツとエターナルズの分裂

1521年、テノチティトラン。エターナルズは地球に残っていた最後のディヴィアンツを倒します。本来なら、これで地球での任務は終わるはずでした。

しかし同じ頃、セナに異変が起きます。突然仲間を敵だと認識し、攻撃し始めたのです。エイジャックはこれをマアド・ウィアリーと説明します。長い年月で蓄積した記憶が混線し、自分が今どこにいるのか分からなくなる症状です。エイジャックはセナの記憶を消して症状を抑えようとしますが、ギルガメッシュはそれを止め、自分が彼女を守ると申し出ます。

同時にドルイグは、人間同士が征服と虐殺を続ける姿へ耐えられなくなります。自分なら精神操作で争いを止められるのに、アリシェムの命令によって介入できないからです。ドルイグは一部の人々を連れてその場を去ります。

エイジャックは、ディヴィアンツを倒し終えた今、全員が好きな場所で次の指示を待つことを認めます。ここで、長く一つの家族として行動してきたエターナルズは世界各地へ散っていきます。


5. 現代ロンドン――人間として暮らすセルシとスプライト

現代。セルシはロンドンで博物館関係の仕事をしながら、人間社会へ溶け込んで暮らしていました。彼女と一緒に暮らしているのがスプライトです。スプライトは数千歳ですが、外見は永遠に少女のままです。幻影で大人の姿を作ることはできても、本当に成長することはできません。

セルシは人間のデイン・ウィットマンと交際しています。デインはセルシの過去をほとんど知りませんが、普通の恋人として彼女と向き合っています。一方、かつて夫だったイカリスは数百年前に突然セルシの前から姿を消していました。

不老不死に近い存在でありながら、セルシは人間の生活を選び、恋愛し、仕事をしています。本作の主人公として彼女が特別なのは、強さではなく、人間を「守る対象」ではなく一緒に生きる相手として愛していることです。


6. ロンドンに現れたディヴィアンツとイカリスの帰還

ある夜、セルシ、スプライト、デインの前に、絶滅したはずのディヴィアンツが現れます。しかもその個体は、過去に戦ったものより明らかに強く、傷を回復する能力まで持っていました。

セルシとスプライトが応戦しますが苦戦し、そこへイカリスが現れます。彼は空中から攻撃してディヴィアンツを追い払います。数百年ぶりに再会したセルシとイカリスの間には、かつて夫婦だった感情が残っています。しかしセルシには現在デインがいて、イカリスがなぜ突然自分を捨てたのかも説明されていません。

それ以上に重大なのは、倒したはずのディヴィアンツが復活したことです。3人は、地球に何かが起きていると考え、リーダーだったエイジャックのもとへ向かうことを決めます。


7. エイジャックの死とセルシへの継承

セルシ、イカリス、スプライトは、アメリカ・サウスダコタで暮らしていたエイジャックの家へ向かいます。しかしそこにいたのは、すでに死亡したエイジャックでした。

エターナルズは非常に高い耐久力と回復力を持つため、彼女が簡単に殺されたこと自体が異常です。さらに傷の状態から、ディヴィアンツに襲われたと考えられます。セルシが遺体へ触れると、エイジャックが持っていた黄金の球体が彼女の体内へ移動します。これはエターナルズの中で唯一、創造主アリシェムと直接交信するための装置です。

つまりエイジャックは死ぬ前に、後継者としてセルシを選んでいました。最も戦闘能力が高いイカリスではなく、人類への愛が強いセルシへリーダーの役目が渡されたことは、本作後半の選択へつながる重要な意味を持ちます。


8. アリシェムが明かすエターナルズの本当の使命

セルシはアリシェムとの交信に成功します。そこで彼女は、自分たちが信じていた歴史がほとんど嘘だったことを知らされます。

エターナルズは遠い故郷オリンピアから来た不死の宇宙人ではありません。彼らはアリシェムがワールド・フォージで作った人工生命体であり、別の惑星でも同じ任務を繰り返してきました。さらにディヴィアンツも、もともとはアリシェムが作った存在でした。惑星の知的生命体を捕食する大型生物を排除するために作られましたが、進化によって命令を外れ、知的生命体まで襲うようになったため、その対抗策としてエターナルズが作られたのです。

そして地球には、セレスティアルティアマットの種が埋め込まれています。知的生命体の人口が増え、十分なエネルギーが蓄積すると「エマージェンス」が始まり、惑星を破壊して新たなセレスティアルが誕生します。

つまりエターナルズが人類を守ってきた本当の理由は、ティアマットを誕生させるために人類を増やすことでした。


9. ブリップが終わり、エマージェンスが迫る

サノスによって宇宙の生命の半分が消えたことで、地球の人口も大きく減り、ティアマットの誕生は一時的に遅れていました。しかし『アベンジャーズ/エンドゲーム』で消えた人々が戻り、地球の人口が一気に回復します。

アリシェムによれば、その結果エマージェンスに必要なエネルギーが満たされ、ティアマットの誕生が目前まで迫っています。セルシは「地球が滅びる」と仲間へ伝えます。

ここで『エンドゲーム』の勝利が、別の宇宙的問題を引き起こしたことが分かります。アベンジャーズが人類を救ったことで、皮肉にもエマージェンスは再び進行し始めました。ただしセルシにとって重要なのは、アリシェムの計画が宇宙全体の生命循環に必要だとしても、今生きている人類を犠牲にすることを受け入れられるかどうかです。

彼女は仲間を再集結させ、地球を救う方法を探すことを決めます。


10. キンゴとの再会――人間社会で成功したエターナル

セルシたちはインドへ向かい、キンゴと再会します。キンゴは現在、ボリウッドの人気俳優として生活していました。不老であることを隠すため、自分を「初代キンゴの息子」「そのまた息子」と説明し、同じ顔の俳優一族を何世代も演じてきたことにしています。

彼のマネージャー兼付き人カルーンは、エターナルズの存在を知ると、彼らの地球最後の戦いになるかもしれないとしてカメラを回し始めます。キンゴは人類を愛しており、仲間との再会も喜びますが、一方でアリシェムへの敬意も強く持っています。

後にこの二つが衝突した時、彼は非常に重要な選択をします。キンゴは「人間を救いたい」という気持ちは持ちながらも、創造主へ反逆して仲間同士で殺し合うところまではできない人物です。


11. セナとギルガメッシュ――何百年も続いた支え合い

一行はオーストラリアで暮らすセナとギルガメッシュを訪ねます。1521年にマアド・ウィアリーを発症したセナは、今も突然別の記憶へ引き込まれ、周囲を攻撃することがあります。

しかしギルガメッシュは何百年もの間、彼女のそばに残り続けていました。彼はエターナルズ屈指の怪力を持つ戦士ですが、セナへ対しては極めて穏やかです。症状が起きた時には力で押さえつけるだけでなく、今いる場所を思い出させ、現実へ戻るよう語りかけます。

セナは断片的に、破壊される惑星や別のエターナルズの記憶を見ています。当初エイジャックはこれを長寿による病気と考えていましたが、実際には違いました。エターナルズは各惑星で任務を終えるたび記憶を消され、別の惑星へ送り直されます。セナの中では、消去された過去の任務の記憶が残り、現在と混ざっていたのです。


12. ファストス――人類への失望と新しい家族

次に仲間たちはファストスを訪ねます。かつてファストスは、人間には成長する可能性があると信じ、技術を与えることを楽しんでいました。

しかし1945年、広島へ原子爆弾が投下された光景を見て、その考えは崩れます。自分たちが文明の発展を助けてきた結果、人間は高度な技術を大量虐殺へ使った。ファストスはその責任を自分にも感じ、「人間は救う価値がない」と絶望します。

それでも現代の彼は、人間の夫ベンと息子ジャックを持ち、家庭を築いていました。人類全体へ失望しても、具体的な一人を愛し、家族を持つことで再び人間を信じるようになっていたのです。

最初はエターナルズの戦いへ戻ることを拒みますが、地球が滅びれば家族も失うため参加を決断します。ファストスの存在は、本作のテーマを非常に分かりやすく示します。人類は完璧だから救うのではなく、欠点があっても愛する価値があるから救うという考えです。


13. アマゾンのドルイグ――「人類を自由にしておくべきか」

最後に一行が訪ねるのは、アマゾンの奥地で暮らすドルイグです。彼は1521年に仲間と別れた後、精神操作能力を使って一つの共同体を作っていました。そこでは住民同士の争いはなく、彼の意思によって平穏が維持されています。

セルシたちは、ドルイグの能力なら地球中の人類を操り、エマージェンスに必要な条件を崩せるのではないかと考えます。しかしドルイグは、ティアマットほど巨大な存在を止められる保証はないと答えます。

さらに彼の考えは複雑です。人類の自由意思を尊重した結果、戦争と虐殺が起こる。ならば自分が全員を操って平和にした方がいいのではないか。一方で、それを実行すれば人類は自分で選択する存在ではなくなります。

ドルイグは人間を見下しているのではなく、むしろ人間が苦しむ姿を見続けることへ耐えられないほど強く関心を持っている人物です。


14. ディヴィアンツ襲撃とギルガメッシュの死

アマゾンの集落へ、複数のディヴィアンツが襲撃してきます。エターナルズは久しぶりに大人数で共闘しますが、敵は以前より強くなっていました。

特にリーダー格のクロは、殺したエターナルズの力を吸収し、進化する能力を得ています。エイジャックを殺したことで治癒能力と知性が強まり、単なる獣ではなくなり始めていました。戦闘中、セナは再びマアド・ウィアリーの症状を起こします。ギルガメッシュは彼女を助けようとしますが、その隙をクロに突かれ、致命傷を負います。

クロはギルガメッシュの力まで吸収して逃走します。何百年もセナを守り続けたギルガメッシュは、最期まで彼女へ「思い出せ」と伝えます。

セナは大切な相手を失いますが、ここから彼女は守られるだけの存在ではなく、自分で記憶と向き合い、後にクロを倒す側へ変わります。


15. ドーモの再起動とユニ・マインド

ギルガメッシュを弔った後、一行は地球に埋められていた宇宙船ドーモを再び起動します。ファストスは、エターナルズ全員のコズミック・エネルギーを一つにつなぐユニ・マインドを考案します。

エマージェンスの瞬間、エターナルズは生まれてくるセレスティアルと一時的にエネルギーで接続されます。その力も利用して全員を一つにつなぎ、ドルイグの精神操作能力を大幅に強化する。そしてティアマットを眠らせ、地球を破壊せず誕生を延期するという計画です。ここまでは、全員が同じ目的へ向かっているように見えます。

しかしイカリスは沈黙しています。彼だけは以前から、エマージェンスについて知っていました。

そして地球を救う計画が具体化したことで、ついに隠していた真実を明かします。


16. イカリスが明かす真実――エイジャックを殺したのは誰か

イカリスは、エイジャックから何百年も前にエターナルズの本当の使命を知らされていました。だからこそ彼はセルシの前から姿を消しました。

セルシを深く愛していた一方で、いつかエマージェンスによって彼女が愛する人類が滅びることを知っており、その秘密を抱えたまま一緒に暮らし続けることができなかったのです。さらに物語開始の6日前、エイジャックはイカリスへ「地球を救いたい」と伝えていました。

サノスとの戦いで人類が団結し、消えた生命まで取り戻したことを見て、彼女は数千年の任務の末に人間の価値を信じるようになったのです。しかしイカリスはアリシェムの計画こそ正しいと信じていました。

彼はエイジャックをディヴィアンツがいる場所へ連れて行き、殺されるままにします。その後、遺体を自宅へ戻し、仲間には何も知らないふりをしていました。つまりエターナルズを再集結させた事件の裏には、イカリス自身によるエイジャック殺害がありました。


17. エターナルズの分裂――正義ではなく、それぞれの信念

イカリスはユニ・マインドに反対し、エマージェンスを止めるなら仲間でも阻止すると宣言します。スプライトはイカリス側へつきます。

彼女は長い間イカリスへ恋愛感情を持っていました。しかし永遠に子どもの姿であるため、その思いを対等な恋愛として受け止めてもらうことはできません。キンゴも思想としてはイカリスに近く、アリシェムには宇宙全体を存続させる目的があると考えます。しかし友人同士で殺し合うことは拒み、カルーンとともに戦いから離脱します。

ここが本作の特徴です。イカリス側が単純な悪というわけではありません。セレスティアルが誕生することで、新しい銀河、恒星、生命が生まれる。地球一つを救うことが、さらに多くの未来の生命を失わせる可能性もあります。

それでもセルシ、ファストス、ドルイグ、マッカリ、セナは、自分たちが実際に愛した地球の生命を犠牲にすることはできないと決めます。


18. エマージェンス開始――地球から現れるティアマット

地球内部でティアマットが目覚め、エマージェンスが始まります。インド洋では巨大な地震と噴火が起こり、海中からセレスティアルの一部が姿を現し始めます。

マッカリが発生地点を突き止め、エターナルズは現地へ向かいます。ファストスはユニ・マインドの装置を準備し、ドルイグへエネルギーを集めます。計画通りなら、強化された精神操作でティアマットを眠らせられるはずです。

しかしイカリスとスプライトが妨害します。圧倒的な戦闘力を持つイカリスに対し、ファストスは自ら開発した装置で彼を地面へ拘束。マッカリは超高速で何度も攻撃を加えます。

これまで家族として戦ってきたエターナルズが、地球の未来を巡って本気で戦うことになります。


19. セナ対クロ――「記憶」を取り戻す戦い

最終決戦の最中、進化を続けたクロも現れます。エイジャックとギルガメッシュの力を吸収したことで、人型に近い姿と言語能力を得ていました。

クロは、エターナルズとディヴィアンツはどちらもアリシェムによって作られ、都合が悪くなれば捨てられる存在だと理解しています。その意味では、彼もまた創造主の計画の被害者です。クロはセナを誘い込み、彼女の力まで吸収しようとします。

しかしギルガメッシュの言葉を思い出したセナは、自分を失いません。彼女はコズミック・エネルギーで武器を作り、クロを完全に切り裂いて倒します。

ギルガメッシュに守られ続けてきたセナが、最後には彼との記憶を力に変えて自分自身で敵を倒します。


20. ドルイグの失敗とセルシの最後の方法

イカリスの攻撃によってドルイグは吹き飛ばされ、ティアマットを精神操作で眠らせる計画は失敗したように見えます。そこでセルシは、別の方法を考えます。

彼女の能力は、触れた無機物を別の物質へ変換することです。これまでは生物へ直接作用させることはできませんでしたが、エマージェンスによってティアマットとエターナルズが接続されている今なら、力が大きく増幅される可能性があります。セルシはティアマットそのものを別の物質へ変えようとします。

一方スプライトは、セルシを止めるため幻影で混乱させ、ついには刃物で彼女を刺します。スプライトがここまでイカリスへ執着する背景には、何千年たっても成長できない自分への苦しみがあります。セルシは人間と恋愛できるのに、自分だけは永遠に子どもの姿のままです。

本作では創造主の命令だけでなく、不死であることそのものがエターナルズへ与えた苦しみも描かれます。


21. イカリスがセルシを殺せない

拘束を破ったイカリスは、ティアマットへ触れているセルシの前に立ちます。地球を救うなら、セルシを殺してでも止めなければならない。

それがアリシェムへの忠誠を貫く唯一の方法です。しかしイカリスにはできません。

数千年愛してきたセルシへエネルギーを向けながら、最後の瞬間に攻撃をやめます。イカリスは使命を優先してエイジャックを死なせました。それでもセルシへの愛までは捨てられませんでした。

この迷いによって彼の立場は完全に崩れます。彼はアリシェムへ忠実な戦士でありたい一方、何千年もの地球での生活によって、本人が思う以上に人間的な感情を持つようになっていたのです。


22. ユニ・マインド――ティアマットを石へ変える

エマージェンスの瞬間、ティアマットの巨大なエネルギーによってエターナルズは自然に一つへ接続されます。イカリスも、スプライトも、結果的にはユニ・マインドの一部となります。

仲間たちの力を受けたセルシは能力を大幅に増幅し、ティアマットの身体を石のような物質へ変換していきます。海上へ現れかけていた巨大な頭部と手は完全に硬化し、エマージェンスは停止します。

地球は救われました。重要なのは、最後に勝利したのが最強の戦闘能力を持つイカリスではなく、これまで「物を変える」ことに使われてきたセルシの力だったことです。

そして彼女が力を発揮できたのは、一人ではなく家族全員がつながったからです。本作の結論は、誰か一人の絶対的な力ではなく、それぞれ異なる考えを持つ者たちが最終的につながったことで地球が救われたというものです。


23. イカリスの最期とスプライトの選択

ティアマットを止めた後、イカリスはセルシの前で言葉を失います。エイジャックを死なせ、仲間を裏切り、アリシェムの命令を守ろうとしたにもかかわらず、最後には自分自身もユニ・マインドへ加わりエマージェンスを止めてしまいました。

使命にも戻れず、家族へしたことも取り消せません。イカリスはセルシを見つめた後、地球を離れ、そのまま太陽へ飛び込んでいきます。

一方スプライトには別の結末が与えられます。セルシは残っていたユニ・マインドの力を使い、スプライトを人間へ変換します。

これによってスプライトはエターナルズとしての不死性と能力を失いますが、代わりに成長し、年を取り、いつか死ぬことができる存在になります。彼女が何千年も望んでいたのは、永遠の命ではなく、普通の人生を生きられることでした。


24. 地球に残る者と宇宙へ旅立つ者

戦いの後、エターナルズは再び二つの道へ分かれます。セナ、マッカリ、ドルイグはドーモで宇宙へ旅立ちます。

目的は、ほかの惑星で同じ任務を続けているエターナルズを探し、アリシェムの本当の計画とエマージェンスの真実を知らせることです。一方、セルシ、ファストス、キンゴは地球へ戻ります。

スプライトは人間として学校へ通い始めます。ファストスは夫と息子のいる家庭へ戻り、キンゴも人間社会へ帰ります。セルシはデインと再会します。

デインは自分の家系にも秘密があると話し始めますが、その話を最後まで伝える前に空が暗くなります。エターナルズは地球を救いましたが、それで創造主との問題が終わったわけではありません。


25. アリシェムの出現――人類は裁かれる

突然、地球の空に巨大なアリシェムが出現します。その姿は地球から見上げても圧倒的な大きさで、人類がこれまで戦ってきた多くの敵とは次元の違う存在であることが分かります。

アリシェムはセルシ、ファストス、キンゴを宇宙へ連れ去ります。彼は、エターナルズがティアマットの誕生を止めたことで、多くの新しい生命が生まれる可能性を奪ったと告げます。

ただしその場で地球を破壊することはしません。彼らが7000年以上にわたって保存してきた人類の記憶を調べ、その記録から「地球の生命に、生かしておく価値があるのか」を判断すると宣言します。

そして、いずれ審判のため戻ってくると言い残し、3人を連れて姿を消します。地球はティアマットから救われましたが、今度は惑星そのものがセレスティアルの審判対象になりました。


ポストクレジットシーン

1. エロス/スターフォックスとピップ・ザ・トロール

宇宙へ旅立ったセナ、マッカリ、ドルイグの前に、ピップ・ザ・トロールとエロス/スターフォックスが現れます。エロスは自らをエターナルと名乗り、さらにサノスの弟であることが明かされます。

彼はセルシたちが危険な状況にあると伝え、居場所を探せると申し出ます。地球の10人以外にもエターナルズが存在し、その物語が宇宙規模で続いていることを示す場面です。


2. デイン・ウィットマンとエボニー・ブレイド

セルシを連れ去られたデイン・ウィットマンは、自宅で一族に伝わる黒い剣エボニー・ブレイドを取り出します。剣へ触れようとした瞬間、画面外から「本当にその準備ができているのか」と問いかける声が聞こえます。

この声はブレイド。デインがコミックでブラックナイトとして知られる存在へつながることを示す伏線です。


主要キャラクターまとめ

セルシ

物質変換能力を持つ本作の中心人物。人類を「任務対象」ではなく共に生きる存在として愛し、エイジャックからアリシェムとの交信役を継承します。真実を知った後は創造主の命令より地球を選び、ユニ・マインドで強化された力によってティアマットを石化します。

イカリス

飛行とコズミック・エネルギー攻撃を使う最強クラスの戦士。アリシェムへの忠誠からエイジャックを死なせ、エマージェンスを守ろうとしますが、セルシへの愛を捨てきれません。使命と感情の間で完全に行き場を失い、最後は太陽へ飛び込みます。

エイジャック

エターナルズのリーダーで治癒能力を持つ人物。長くアリシェムへ従っていましたが、地球で人類を見続けたことで考えを変え、エマージェンス阻止を決意します。そのためイカリスに殺されますが、後継者としてセルシを選びました。

セナ/ギルガメッシュ

セナは武器を自在に作る戦士で、過去の記憶が混線するマアド・ウィアリーに苦しみます。ギルガメッシュは怪力を持つ戦士で、何百年も彼女を支え続けました。ギルガメッシュの死後、セナは彼との記憶を手掛かりに自分を取り戻し、クロを倒します。

キンゴ

エネルギー弾を放つ能力を持ち、現代ではボリウッド俳優として生活しています。思想的にはイカリス寄りですが、仲間同士で殺し合うことを拒み、最終決戦から離脱します。本作の対立が単純な善悪ではないことを示す人物です。

スプライト

幻影を作る能力を持ち、何千年生きても少女の姿から成長できません。長年イカリスを愛し、人間として恋愛や成長ができるセルシへ嫉妬していました。最後はセルシの力で人間となり、不死を失う代わりに普通の人生を得ます。

ファストス

発明と技術を担当するエターナル。広島への原爆投下を見て人類へ失望しますが、現代では夫ベンと息子ジャックとの家庭を築き、人類を再び信じるようになります。ユニ・マインドを設計した地球救済作戦の技術的中心人物です。

マッカリ/ドルイグ

マッカリは超高速移動能力を持ち、最終決戦ではイカリスを正面から翻弄します。ドルイグは精神操作能力を持ち、人間同士の争いへ介入できない命令に最も早く疑問を抱いた人物です。二人はセナとともに宇宙へ旅立ち、他のエターナルズへ真実を伝えようとします。

重要アイテム・組織

エターナルズ/セレスティアルズ/ディヴィアンツ

エターナルズはアリシェムがワールド・フォージで作った人工生命体で、惑星ごとに派遣されます。セレスティアルズは恒星や銀河、新たな生命の誕生に関わる巨大な宇宙存在。ディヴィアンツもアリシェムが作った生命体ですが、進化によって制御不能となったため、エターナルズがその排除役として作られました。

ドーモ/ワールド・フォージ

ドーモは地球のエターナルズが使用する宇宙船。ワールド・フォージはエターナルズの製造と記憶保存が行われる場所で、地球の10人以外にも多数のエターナルズが存在することが明らかになります。

エマージェンス/ティアマット

エマージェンスは、惑星内部で育ったセレスティアルが知的生命体のエネルギーを利用して誕生する現象です。地球ではティアマットが誕生しかけますが、セルシによって石化されます。その巨大な残骸は後に「セレスティアル島」と呼ばれ、アダマンチウムを巡る問題へつながります。

ユニ・マインド

複数のエターナルズのエネルギーを接続する仕組み。当初はドルイグの能力を増幅する計画でしたが、最終的にはセルシの物質変換能力を強化し、ティアマットを止める決定打になります。

エボニー・ブレイド

デイン・ウィットマンの家系に伝わる黒い剣。詳細は本作では説明されませんが、ブラックナイトへつながる重要な伏線です。


MCU的に重要なポイント

1. MCUの地球史が7000年以上前まで広がる

エターナルズは紀元前5000年から地球で活動し、人類の神話や文明を見守っていました。これにより、MCUの地球には現代のヒーロー以前から宇宙勢力が深く関わっていたことが明らかになります。

2. サノスと戦わなかった理由

エターナルズは、ディヴィアンツが関係しない人類の争いへ介入してはいけないと命じられていました。そのためアベンジャーズの戦いにも参加しませんでした。一方、『エンドゲーム』で人類が消えた生命を取り戻したことは、エイジャックが地球を救う決断をする理由になります。

3. 『エンドゲーム』の勝利がエマージェンスを早める

サノスによる人口半減で遅れていたティアマットの成長は、ブリップで人々が戻ったことで再び加速します。つまり『エンドゲーム』の勝利が、結果として本作の危機を発生させました。

4. セレスティアルズの役割が本格化

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』などで存在だけ示されていたセレスティアルズが、本作では星や生命の誕生に関わる宇宙規模の存在として描かれます。地球そのものもティアマットを育てる惑星の一つでした。

5. ティアマットの残骸が後のMCUへ残る

石化したティアマットは海上に残り、後の『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』ではセレスティアル島として扱われます。内部から得られるアダマンチウムを巡り、各国の政治問題へ発展します。

6. エロス、ブラックナイト、ブレイドへの接続

ポストクレジットではサノスの弟エロス/スターフォックスが登場し、宇宙にいる他のエターナルズへ物語が広がります。同時にデイン・ウィットマンのエボニー・ブレイドとブレイドの声が登場し、ブラックナイトやMCUの怪異・魔術側への接続も示されます。

7. 地球がアリシェムの審判対象になる

エターナルズはティアマットを止めましたが、アリシェムとの問題は解決していません。彼はセルシたちが保存してきた人類の記憶を調べ、地球を存続させる価値があるか審判すると宣言します。本作は地球救済で終わると同時に、さらに大きな問題を残して終わります。


作品のテーマ

『エターナルズ』の中心にあるのは、**「与えられた使命ではなく、自分で生きる意味を選べるのか」**という問いです。

イカリスは創造主から与えられた使命を守ろうとし、セルシは7000年間で実際に愛するようになった人類を選びます。スプライトは不死ではなく人間として成長する人生を求め、ファストスは人類へ失望しながらも家族を通して再び守る理由を見つけます。

人類もエターナルズも完璧ではありません。それでも彼らは、命令ではなく自分たちの経験と愛情を根拠に「この世界を失いたくない」と選びます。そこに本作の結論があります。


まとめ

『エターナルズ』は、7000年以上人類を守ってきた10人が、実は地球内部のセレスティアルティアマットを育てるために作られた存在だったと知り、創造主へ従うか人類を救うかで分裂する物語です。

最終的にはセルシたちがユニ・マインドでティアマットを石化し地球を救いますが、エイジャックとギルガメッシュは死亡、イカリスも自ら命を絶ち、残った仲間たちも地球と宇宙へ分かれます。さらにアリシェムは地球を審判すると宣言し、ポストクレジットではエロス、エボニー・ブレイド、ブレイドまで登場します。

地球の古代史、セレスティアルズの生命循環、ティアマットの残骸、ブラックナイトへの伏線まで、MCUの宇宙観を一気に拡張した作品です。