デッドプール&ウルヴァリン
Deadpool & Wolverine / 2024年
『デッドプール&ウルヴァリン』はMCU公開順第34作、フェーズ5の作品であり、自分には大きな意味のあることを成し遂げる価値がないと思い込んだウェイド・ウィルソンと、過去の失敗から“最低のウルヴァリン”と呼ばれる別世界のローガンが、互いにもう一度ヒーローになる理由を見つけていく物語です。
本作では『ロキ』のTVAやヴォイドを通して、デッドプールの世界アース10005とMCU本編のアース616が直接接続します。同時に『X-MEN』『LOGAN/ローガン』『ファンタスティック・フォー』『ブレイド』『エレクトラ』など、旧20世紀フォックス系作品を中心に、MCU以前のマーベル実写映画の歴史を大規模に回収します。
重要なのは、FOX世界を壊してデッドプールだけをMCUへ移す作品ではないことです。過去のシリーズにも価値があったと認め、その世界を残したままMCUのマルチバースへ接続する作品になっています。
詳しいあらすじ
1. 2018年――アベンジャーズ入りを望むウェイド
『デッドプール2』でケーブルのタイムトラベル装置を手にしたウェイド・ウィルソン/デッドプールは、ヴァネッサの死を防ぐなど過去を修正していました。
その後、ウェイドは自分の世界アース10005からアース616/神聖時間軸へ移動し、アベンジャーズへの加入を希望します。しかし面接相手のハッピー・ホーガンは不採用を告げます。
ウェイドは人を助けたいと語りますが、本心ではアベンジャーズに入ることで「自分は特別な人間だ」と証明したがっていました。この失敗が彼の自信を大きく傷つけます。


2. 2024年――デッドプールを辞めた生活
6年後、ウェイドはデッドプールを引退し、ピーターと中古車販売店で働いていました。ヴァネッサとも別れています。
仲間たちは今も彼を慕っていますが、ウェイド自身は人生がどこにも進んでいないと感じています。ヴァネッサは彼に「自分だけでなく、もっと大きな何かのために生きてほしい」と願っていましたが、ウェイドはアベンジャーズに拒否された経験から、自分にはその資格がないと思い込んでいました。
本作のウェイドは、いつもの軽口の奥で自分の価値を見失っている状態から始まります。

3. TVAとアース10005の危機
誕生日パーティーの最中、ウェイドはTVA(時間変異取締局)に拘束され、職員ミスター・パラドックスの前へ連れて行かれます。
パラドックスはウェイドに、アース616へ移り「重要人物」として生きる機会を与えると持ちかけます。しかし同時に、故郷アース10005が消滅へ向かっていることも明かします。
その世界を支えていたアンカー・ビーイングが死亡したからです。
その人物こそ、『LOGAN/ローガン』で命を落としたローガン/ウルヴァリンでした。


4. 『LOGAN/ローガン』の死とタイム・リッパー
アンカー・ビーイングを失ったタイムラインは長い時間をかけて自然消滅するとされますが、パラドックスはそれを待たず、無許可の装置タイム・リッパーでアース10005を一気に消そうとしていました。
ウェイドは自分だけアース616へ逃げる道を拒否し、パラドックスのTemPadを奪います。
そして未来にあるローガンの墓を掘り返しますが、残っていたのはアダマンチウムを含む骨格だけでした。
ここで本作は、ヒュー・ジャックマンを復帰させるために**『LOGAN/ローガン』の最期そのものを取り消すわけではない**と明示します。


5. マルチバースのウルヴァリン探し
元のローガンを蘇らせられないと分かったウェイドは、別世界から代わりのウルヴァリンを探します。
コミック本来の身長に近い小柄な個体、眼帯姿のパッチ、オールドマン・ローガン風、片腕の『エイジ・オブ・アポカリプス』風、磔にされた個体、茶色いクラシックスーツでハルクと戦う個体などが登場。さらにファンキャストで有名だったヘンリー・カヴィル版ウルヴァリンまで現れます。
最終的にウェイドが選んだのは、酒場で飲み続けていた黄色いスーツのローガンでした。

6. “最低のウルヴァリン”とヴォイド
ウェイドはローガンをTVAへ連れ帰りますが、パラドックスは「別世界の同一人物でアンカー・ビーイングを交換することはできない」と説明します。
しかもこのローガンは、TVAからマルチバース最悪のウルヴァリンとして知られていました。
パラドックスの計画が上層部に無許可だと気づいたウェイドは、ローガンとともにヴォイドへ追放されます。
ウェイドはローガンに「TVAへ戻れば過去を修正できる」と約束しますが、実際には保証のない嘘でした。

7. ジョニー・ストームとカサンドラ・ノヴァ
ヴォイドは『ロキ』に登場した、TVAに剪定された人物や物体が流れ着く「時間の終わり」の世界です。
二人はそこでクリス・エヴァンス演じるジョニー・ストーム/ヒューマン・トーチと遭遇します。観客にもウェイドにもキャプテン・アメリカと思わせておき、2005年版『ファンタスティック・フォー』の役を復活させる仕掛けです。
三人は捕まり、ヴォイドを支配するカサンドラ・ノヴァのもとへ連行されます。彼女はチャールズ・エグゼビアの双子の妹で、強力なテレパシーと念動力を持つミュータントです。
カサンドラはジョニーを殺し、ウェイドとローガンもアライオスへ食わせようとしますが、二人は脱出します。


8. ウェイドとローガンの決裂
逃走中、二人はデッドプールの変異体ナイスプールとドッグプールに出会い、カサンドラへ抵抗する一団の存在を知ります。
しかし移動中、ローガンは「TVAが過去を直してくれる」というウェイドの話に確証がないと知ります。
激怒したローガンは、ウェイドが世界を救いたいのではなく「自分が重要だと証明したいだけだ」と突きつけます。ウェイドもローガンの失敗を刺激し、二人は車内で致命傷を与え合うほどの大喧嘩になります。
これは、自分には価値がないと思う二人が、その痛みを相手へぶつける場面です。


9. “その他の奴ら”――忘れられたヒーローたち
気絶した二人を助けたのはカサンドラへの抵抗軍でした。
そこにはローラ/X-23、エレクトラ、ブレイド、ガンビットがいます。
ローラは『LOGAN/ローガン』のダフネ・キーン。エレクトラは『デアデビル』『エレクトラ』のジェニファー・ガーナー。ブレイドは旧三部作のウェズリー・スナイプスです。
ガンビットを演じるチャニング・テイタムだけは少し特殊で、FOX時代に主演映画が長年企画されながら実現しなかった“幻のキャスティング”です。
彼らは、終了したシリーズや実現しなかった映画が行き着くヴォイドという場所を象徴しています。


10. ローラがローガンを立ち直らせる
ローガンは抵抗軍への協力を拒みますが、ローラが彼と話します。
ローラが知る『LOGAN/ローガン』のローガンは、最後に子どもたちを守って英雄として死にました。目の前のローガンが別人でも、彼女は「ローガンなら最後には正しいことをする」と信じます。
やがてこのローガンの過去も明らかになります。彼が酒を飲みに出ていた間に人間たちがX-MENを襲撃し、仲間は全滅。怒ったローガンは復讐で多くの人間を殺し、チャールズの理想まで傷つけました。
彼が黄色いX-MENスーツを着続けるのは、失った仲間への後悔を忘れないためでした。

11. カサンドラの要塞へ総攻撃
ローガンは今度こそ正しいことをすると決め、ウェイドたちとカサンドラの要塞へ向かいます。
敵側にはパイロ、セイバートゥース、トード、レディ・デスストライク、アザゼル、ジャガーノートなど、FOX系X-MEN映画を思わせる人物が多数います。
パイロは『X-MEN2』『X-MEN:ファイナル ディシジョン』のアーロン・スタンフォード本人、セイバートゥースも2000年『X-MEN』のタイラー・メイン本人が復帰しています。
抵抗軍が敵を引き受け、ウェイドとローガンはカサンドラへ接近。ジャガーノートのヘルメットを被せ、テレパシーを封じることに成功します。

12. カサンドラを救うローガン
その直後、パイロがカサンドラを撃ちます。実はパイロはパラドックスと通じており、彼女がヴォイドから出ないよう監視していました。
ウェイドはカサンドラを見殺しにしようとしますが、ローガンが止めます。
かつて復讐によってX-MENの理想を壊した彼が、今度は**「チャールズなら彼女を救う」**という基準で行動したのです。
ウェイドがヘルメットを外すとカサンドラは回復し、二人を殺さず解放。ヴォイドへ流れ着いたドクター・ストレンジ変異体のスリング・リングでアース10005へのポータルを開きます。
ローガンが“最低のウルヴァリン”から戻り始める決定的な場面です。


13. タイム・リッパーとデッドプール・コープス
アース10005へ戻った二人は、パラドックスがタイム・リッパーを完成させていることを知ります。
一方カサンドラもパイロから裏切りを知ってアース10005へ移動。タイム・リッパーを奪い、すべてのタイムラインを破壊してヴォイドだけを残そうとします。
さらに大量のデッドプール変異体=デッドプール・コープスが出現。レディプール、カウボーイプール、キッドプール、ヘッドプールなどがウェイドとローガンへ襲いかかります。
二人は軍勢を突破しますが、最後はピーターの登場でデッドプールたちが戦意を失い、彼のもとへ集まります。

14. 二人で世界を救う
カサンドラによるタイム・リッパーの暴走を止めるには、装置内部の物質と反物質の回路を身体で接続しなければなりません。それを行えば死ぬとパラドックスは説明します。
ウェイドはローガンを締め出し、一人で犠牲になろうとします。
冒頭では「重要人物として認められたい」と願った彼が、ここでは誰に評価されなくても仲間の世界を守るため死を選びます。
しかしローガンも中へ入り、二人でエネルギーを受け止めます。
タイム・リッパーは破壊され、カサンドラも消滅。二人は再生能力と、負荷を二人で分けたことで生還します。

15. アース10005の存続と新しい居場所
事件後、ハンターB15率いるTVAが現れ、パラドックスを拘束します。
B15は、ウェイドとローガンの行動によってアース10005の崩壊が止まり、タイムラインが回復し始めていると説明します。
ウェイドはヴォイドの仲間たちの救出と、ローガンの過去の修正を頼みます。しかしローガンの過去については拒否されます。過去の失敗があったからこそ、現在の彼は世界を救う人物になったからです。
ローガンはアース10005に残り、救出されたローラとともにウェイドの仲間たちの食卓へ加わります。
ウェイドもヴァネッサと向き合い、二人は再び手を取ります。


ポストクレジット
エンドクレジットでは、『X-MEN』『ファンタスティック・フォー』『デアデビル』『エレクトラ』など旧20世紀フォックスが制作・配給したマーベル作品を中心とする本編や舞台裏映像が流れます。
これは次回作への伏線というより、FOX時代のマーベル映画への送別映像です。
その後、ウェイドはTVAの記録を再生し、ジョニー・ストームが本当にカサンドラへの大量の悪口を言っていたことを証明します。
つまりウェイドがジョニーを陥れたのではなく、本人が本当に全部言っていたという本編ギャグの回収です。
主要キャラクターまとめ


ウェイド・ウィルソン/デッドプール
高い再生能力を持つ傭兵。本作では「自分は誰かに必要とされる人間なのか」という不安が中心になります。
アベンジャーズ加入を拒否され、ヴァネッサとも別れたことでヒーローを辞めますが、故郷の消滅を前に再び戦います。
最後には“特別だと認められるため”ではなく、大切な人々を守るため自分の命を差し出そうとし、本当の意味でヒーローらしい選択へ到達します。

ローガン/ウルヴァリン
『LOGAN/ローガン』で死亡した本人ではなく、別世界の変異体。
X-MENを守れなかっただけでなく、その後の復讐で多くの人間を殺し、チャールズの理想まで傷つけたことを後悔しています。
ローラとの対話とウェイドとの旅を通じ、過去を消すのではなく「今度は正しいことをする」道を選びます。

カサンドラ・ノヴァ
チャールズ・エグゼビアの双子の妹で、強大なテレパシーと念動力を持つミュータント。
ヴォイドを自分の家と考えており、最終的には他の全タイムラインを破壊しようとします。
一方で、ローガンがチャールズの理念に従って自分を救った際には二人を故郷へ帰すなど、感情や兄への複雑な思いも持っています。

ミスター・パラドックス
TVA職員。自然消滅へ向かうアース10005を、タイム・リッパーで早期処分しようとします。
彼の「どうせ終わる世界なら消していい」という考えは、古い作品にも価値があるという本作のテーマと正反対です。

ローラ/X-23
『LOGAN/ローガン』から成長した姿で再登場。
本作のローガンとは別世界の人物ですが、「ローガンが最後には英雄になった」という事実を知る存在として彼を立ち直らせます。
重要アイテム・組織
TVA
『ロキ』から続く、時間の流れの外側でマルチバースを監視する組織。本作ではFOX系世界とMCUを接続する最大の橋になります。
アンカー・ビーイング
一つのタイムラインを安定させるほど重要な人物。本作で初登場する概念で、アース10005では『LOGAN/ローガン』のローガンが該当します。
タイム・リッパー
パラドックスが無許可で用意した、タイムラインを短時間で完全破壊する装置。終盤ではカサンドラが全マルチバースを破壊するために利用します。
ヴォイド
TVAに剪定された存在が送られる「時間の終わり」。本作では終了した映画シリーズや実現しなかった企画の人物まで集まり、映画史そのものの墓場という意味が加わっています。
FOX系マーベル作品との接続・小ネタ
1. 本作そのものがFOXマーベルへの送別
2019年のディズニーによる21世紀フォックス買収で、X-MENやファンタスティック・フォーなどの映画権がマーベル・スタジオ側へ戻りました。
本作はその現実を「FOX系世界が消滅しそうになる」という物語へ変換しています。
パラドックスは古い世界を消そうとしますが、ウェイドはそこに暮らす人々を理由に拒否します。新しいMCU版が始まっても旧シリーズの価値は消えないという作品全体のメタテーマです。
2. 『LOGAN/ローガン』の結末は改変しない
ヒュー・ジャックマン復帰で最大のポイントです。
本作は2017年『LOGAN/ローガン』で死んだローガンを蘇生せず、別世界のローガンを登場させます。
さらにローラが旧ローガンの英雄的な最期を語ることで、旧作を壊すのではなく、新しいローガンを救う力として利用しています。
3. 黄色いウルヴァリン・スーツ
FOX版X-MEN映画では、ヒュー・ジャックマン版ウルヴァリンがコミックで象徴的な黄色いスーツを本格的に着ることはほぼありませんでした。
本作では黄色と青のスーツ、さらに終盤ではマスクまで登場。20年以上続いた実写ウルヴァリンで、ついにコミックに極めて近い姿が実現します。
4. ウルヴァリン変異体はコミック史へのオマージュ
マルチバース探索では、パッチ、オールドマン・ローガン、エイジ・オブ・アポカリプス版、磔のウルヴァリン、ブラウン・コスチューム+ハルクなど、コミック由来の姿が大量に登場します。
さらにヘンリー・カヴィルの「カヴィルリン」は、MCU版ウルヴァリン候補として長年ファンの間で語られたキャスティングを実際に映像化したものです。
5. クリス・エヴァンス=ヒューマン・トーチ
クリス・エヴァンスを見た瞬間、MCU視聴者はキャプテン・アメリカを期待します。
しかし復活するのは、2005年版『ファンタスティック・フォー』のジョニー・ストームです。
MCU以前にも彼がマーベルヒーローを演じていた歴史そのものを利用したカメオです。
6. ウェズリー・スナイプス版ブレイド
1998年から始まった旧『ブレイド』三部作は、MCUより前のマーベル実写映画を代表するシリーズです。
ライアン・レイノルズ自身も『ブレイド3』へ出演していたため、本作は約20年越しの再共演にもなっています。
7. チャニング・テイタム版ガンビット
チャニング・テイタム主演の『ガンビット』はFOX時代に長年企画されましたが、延期や監督交代を経て実現しませんでした。
そのため本作のガンビットは「旧作からの復帰」ではなく、存在するはずだった映画版ガンビットが初めて実現した瞬間です。
8. FOX系ヴィランは全員が旧俳優ではない
パイロやセイバートゥースは旧作の俳優本人が復帰していますが、ジャガーノート、レディ・デスストライク、トード、アザゼルなどは別俳優です。
したがって「旧FOX映画の本人が全員集合」ではなく、旧映画の人物・変異体・コミック的再現が混在していると整理するのが正確です。
9. ソーがデッドプールを抱いて泣く映像
TVAでウェイドは、ソーが傷ついた自分を抱きながら泣く映像を見ます。
元になっているのは『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』の映像ですが、劇中では理由が説明されません。
今後実現する未来なのか、可能性の一つなのかは不明であり、現時点で確定した未来とは断定できません。
10. エンドクレジットがFOX時代の卒業アルバム
エンドクレジットには、過去作の本編だけでなく若いキャストたちの撮影現場や舞台裏まで登場します。
本編ではFOXやディズニー買収を散々ジョークにしますが、最後は旧シリーズへ素直に敬意を示します。
本作が単なる「MCUへの移籍」ではなく、2000年の『X-MEN』から続いた一時代への別れとして作られていることを示す場面です。
MCU的に重要なポイント
デッドプールがMCUのマルチバースへ正式接続
ウェイドはアース10005の住人のまま、アース616とTVAへ直接接触しました。
つまり故郷を捨ててMCUへ移住したのではなく、FOX版デッドプールの世界そのものがMCUのマルチバースへ接続された形です。
『LOGAN』を維持したまま別のヒュー・ジャックマン版ウルヴァリンが存在
『LOGAN/ローガン』の個体は死亡したままですが、本作の別世界ローガンはアース10005に残ります。
旧作の結末を崩さず、今後再登場可能なウルヴァリンを残したことになります。
『ロキ』のTVAが映画側へ本格接続
TVA、ヴォイド、アライオス、B15が映画の主要要素として登場します。
ドラマ『ロキ』で整理されたマルチバースの仕組みが、映画側のFOXキャラクター合流に直接使われた重要作です。
アース10005は消滅せず残った
本作はFOX世界を破壊してアース616へ統合する結末ではありません。
アース10005は救われ、ウェイドの友人たちもその世界で暮らし続けます。
作品のテーマ
「特別な存在」でなくても世界を救える
ウェイドはアベンジャーズに入り、自分が重要人物だと認められたがっていました。
ローガンは逆に、自分は最低の存在で英雄になる資格がないと思っています。
しかし世界を救うのは、失敗と後悔を抱えた二人です。
英雄になる資格は過去の評価ではなく、今その瞬間に何を選ぶかで決まるという点が、二人に共通する成長です。
過去は消せなくても、その後は変えられる
ローガンはX-MENを死なせた過去を消してもらうことを望みますが、最後まで修正されません。
それでも現在の彼が世界を救ったことで、「X-MENを裏切った男」で終わる必要はなくなります。
過去をなかったことにするのではなく、次の選択によって自分の意味を変えることが本作の救済です。
終わった物語にも価値がある
ヴォイドへ送られた旧マーベル映画のヒーローたちは、シリーズ終了によって「もう必要ない」と判断された作品を象徴しています。
しかし彼らは最後に自分たちの意思で戦います。
新しいMCU版が作られることと、旧作品の価値が消えることは別です。本作はエンドクレジットまで使って、リブートは過去を削除することではないと描いています。
まとめ
『デッドプール&ウルヴァリン』は、TVAとマルチバースを使ってデッドプールをMCUへ接続する作品であると同時に、2000年の『X-MEN』から続いてきたFOX系作品を中心としたMCU以前のマーベル実写映画史へ一区切りをつける送別作です。
『LOGAN/ローガン』の死を取り消さず別世界のローガンを登場させ、ローラ、エレクトラ、ブレイド、ジョニー・ストーム、ガンビットらをヴォイドへ集めることで、「終わったシリーズ」「忘れられた作品」「実現しなかった企画」まで一つの歴史として拾い上げます。
ウェイドはアベンジャーズにならなくても、自分の大切な人々がいる世界を救えると知ります。ローガンは過去を消せなくても、もう一度正しい選択をすることでウルヴァリンとして立ち直ります。
そしてアース10005は消滅せず残ります。
FOX時代を消してMCUへ置き換えるのではなく、FOX時代を残したままMCUのマルチバースへつないだことこそ、本作の最も重要な役割です。

