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ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのポスター

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー

Black Panther: Wakanda Forever / 2022年

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』はMCU公開順第30作、フェーズ4を締めくくる映画作品であり、国王ティ・チャラを失ったワカンダと、その死を受け入れられない妹シュリが、海底王国タロカンとの衝突を通して「喪失を復讐へ変えるのか、それとも未来へ進む力へ変えるのか」を選ぶ物語です。

前作でティ・チャラはワカンダの孤立主義を終わらせ、世界へ国の存在と技術を開き始めました。しかし『アベンジャーズ/エンドゲーム』後、その象徴だったティ・チャラが病で死亡。世界各国はブラックパンサーを失ったワカンダを弱体化したと見て、ヴィブラニウムを狙い始めます。

さらに、ワカンダ以外にもヴィブラニウムを持つ海底国家タロカンと、その王ネイモアが登場。リリ・ウィリアムズ/アイアンハートもMCUへ初登場し、シュリは兄と母を失う中で新たなブラックパンサーへ進むことになります。

本作はティ・チャラの後継者を決めるだけの物語ではありません。ティ・チャラが残したワカンダを、残された者たちがどう守り、どう未来へつなぐかを描いた作品です。


詳しいあらすじ

1. ティ・チャラを救えないシュリ

物語は、ワカンダ国王ティ・チャラが重い病に倒れているところから始まります。

妹のシュリは研究室で必死に治療法を探していました。前作でキルモンガーがハート型のハーブを焼き払ったため、ブラックパンサーの力を生み出してきた植物は失われています。シュリは過去のデータからハーブを人工的に再現しようとしますが、完成する前に母ラモンダから兄の死を告げられます。

科学なら多くの問題を解決できると信じてきたシュリにとって、これは決定的な敗北です。彼女は「もう少し時間があれば救えた」と考え続け、兄の死を自然な別れとして受け入れることができません。

ワカンダでは盛大な葬儀が行われ、国民が白い衣装で国王を送り出します。しかしシュリの中には悲しみだけでなく、自分が救えなかったという罪悪感と怒りが残ります。


2. 一年後――ブラックパンサーを失ったワカンダ

ティ・チャラの死から一年後、ラモンダは女王としてワカンダを率いていました。

国連では各国がワカンダへヴィブラニウムの共有を要求しますが、ラモンダは拒否します。その直前には、フランス側の部隊がワカンダの研究施設を襲撃し、ヴィブラニウムを奪おうとしていました。しかしドーラ・ミラージュが襲撃者を制圧し、ラモンダは拘束した兵士たちを国連の場へ連れてきます。

世界は「ワカンダが危険だからヴィブラニウムを共有すべきだ」と主張しますが、実際にはブラックパンサー不在の隙を狙っている国も存在します。

前作でティ・チャラは善意から世界へ扉を開きました。しかしその結果、世界はワカンダを理解しただけでなく、ヴィブラニウムという巨大な力の存在も知ってしまったのです。


3. 海底で発見される新たなヴィブラニウム

一方、大西洋ではアメリカ側の調査隊が海底資源を探査していました。

そこで使用されていたのが、若い科学者の設計したヴィブラニウム探知機です。装置は海底にワカンダとは別のヴィブラニウム鉱床が存在することを示します。

ところが調査隊は、海中から現れた青い肌の戦士たちによって襲撃されます。彼らは歌声で人間を催眠状態にし、海へ飛び込ませる能力まで使います。現場は壊滅しますが、外部から見れば「ヴィブラニウムを守ろうとするワカンダの攻撃」にも見えました。

ここで世界の常識が崩れます。これまでヴィブラニウムはワカンダだけのものだと思われていましたが、地球上にはもう一つ、同じ金属によって発展した文明が存在していたのです。


4. ネイモアがワカンダへ現れる

ラモンダはシュリを連れ、川辺でティ・チャラを悼みます。母は喪失と向き合うため、葬儀で着た服を燃やすよう勧めますが、シュリは拒みます。彼女は兄を奪った世界そのものを燃やしたいほどの怒りを抱えていました。

そこへ水中から突然、一人の男が現れます。

彼こそ海底王国タロカンの王ネイモアです。ネイモアは、ワカンダがヴィブラニウムの存在を公表したことで世界中が同じ金属を探し始め、自国まで発見される危険が生まれたと非難します。

彼が要求したのは、探知機を作った科学者を見つけて引き渡すことでした。応じなければワカンダを攻撃すると警告し、逆に協力するなら地上の国々へ共に対抗できると持ちかけます。

ワカンダとタロカンは、ヴィブラニウムを持ち、外敵から国を隠して発展した国家という点で非常によく似ています。しかしティ・チャラが世界との協力を選んだのに対し、ネイモアは秘密を守るためなら先に敵を排除する道を選んでいます。


5. 探知機を作った学生リリ・ウィリアムズ

ネイモアが残した探知機を調べたワカンダ側は、設計者の特定を進めます。

オコエはCIAのエヴェレット・ロスから情報を得て、開発者がMITの学生リリ・ウィリアムズだと知ります。シュリは自らアメリカへ同行し、二人でリリのもとを訪れます。

リリは非常に優秀な若き発明家で、授業の課題としてヴィブラニウム探知機を設計しただけでした。ところが大学側がその技術を政府へ渡したことで、本人の知らないところで海底探査へ利用されていました。

つまりリリは、タロカンを意図的に探したわけでも、戦争を起こしたわけでもありません。それでもネイモアから見れば、国の存在を暴く技術を作れる人物が生きていること自体が脅威です。


6. ボストンでの逃走とタロカンの襲撃

シュリとオコエがリリを連れ出そうとしたところへ警察と当局が現れ、三人は逃走します。

リリは自作のアーマーを起動し、空中から追跡をかわします。まだ完成度は粗いものの、学生が一人で飛行型パワードスーツを作っていることから、彼女が自力で飛行型パワードスーツを成立させるほどの発明能力を持つことが分かります。

しかし逃走の途中、橋でタロカンの戦士ナモラとアットゥマが襲撃します。オコエはアットゥマと激闘を繰り広げますが、タロカン人の身体能力は非常に高く、最終的にシュリとリリは連れ去られます。

シュリはリリを守るため、自ら捕虜になることを選びました。兄を失って以降閉じこもっていた彼女が、ここでは再び誰かを守るために自分を危険へ置く王族としての責任を見せ始めます。


7. オコエの失脚とナキアへの依頼

一人でワカンダへ戻ったオコエは、ラモンダへシュリを連れ去られたことを報告します。

ラモンダは激怒し、オコエをドーラ・ミラージュ隊長から解任します。オコエはティ・チャラ、キルモンガーの内戦、サノスとの戦争など何度も王家を守ってきましたが、ラモンダにとって今残っている子どもはシュリだけです。

ここでは女王としての合理性より、夫と息子を失った母親としての恐怖が前面へ出ています。

ラモンダは別の方法で娘を探すため、長くワカンダを離れていたナキアを訪ねます。ナキアはハイチで学校を運営し、静かに生活していました。ティ・チャラの死後も葬儀へ戻らなかった彼女には、ワカンダから距離を置いていた理由がありました。


8. 海底王国タロカンとネイモアの過去

シュリは捕らえられたまま、ネイモアと直接話すことを選びます。ネイモアは彼女へ潜水装備を与え、自らの国タロカンを見せます。

そこには何世代にもわたり海中で暮らしてきた巨大な文明が存在していました。人々はヴィブラニウムの光を人工の太陽として利用し、地上世界から完全に隠れて生活しています。

ネイモアは自分たちの起源も明かします。遠い昔、疫病と侵略から逃れようとした彼の祖先は、ヴィブラニウムの影響を受けた植物を摂取し、水中で生きる身体へ変化しました。母が妊娠中にその植物を口にしたため、ネイモアは水中と地上の双方で活動でき、足首の翼で飛行できる特別な存在として生まれます。

母の死後、彼女を故郷へ埋葬するため地上へ戻ったネイモアは、先住民が植民者に虐げられている光景を目撃します。その経験から地上世界を信用せず、何百年もの間タロカンを守ってきました。

タロカンの民は彼をククルカンと呼び、神に近い守護者として信頼しています。


9. ネイモアが求めるワカンダとの同盟

ネイモアはシュリへ、単にリリを殺したいだけではないと語ります。

彼はいつか地上世界がタロカンを発見し、ヴィブラニウムを奪うため戦争を始めると確信しています。そのため先に世界へ戦争を仕掛け、ワカンダにも協力してほしいと考えていました。

もしワカンダが拒めば、タロカンの秘密を守るためワカンダも敵として排除する。

これは前作のキルモンガーと似た構図です。世界から傷つけられた側が、再び傷つけられる前に圧倒的な武力で支配しようとしています。

シュリはタロカンの美しさとネイモアが民を守ろうとする思いには理解を示しますが、リリを犠牲にすることも、地上へ全面戦争を仕掛けることも受け入れられません。


10. ナキアによる救出と戦争の始まり

ナキアは独自にタロカンの拠点を探し出し、シュリとリリの救出へ向かいます。

潜入は成功しますが、脱出時の戦闘でタロカン側に死者が出ます。シュリは「このままでは戦争になる」と警告しますが、三人はワカンダへ帰還します。

ネイモアにとって、これは単なる捕虜奪還ではありません。何百年も隠して守ってきたタロカンへワカンダ人が侵入し、民を殺した事件です。

ここで両国の関係は交渉から戦争へ変わります。

ワカンダもタロカンも自国民を守ろうとしており、どちらにも守る理由があります。しかし相手への恐怖と不信によって、「守るための行動」が相手にとっての攻撃となり、報復を呼ぶ構造へ入ってしまいます。


11. ネイモアのワカンダ襲撃とラモンダの死

ネイモアは大軍を率いてワカンダへ侵攻します。

タロカンの戦士たちは水路から首都へ入り、巨大な水爆を使って都市を洪水状態にします。ワカンダは国民を避難させながら応戦しますが、地上からの侵略を想定してきた防衛体制に対し、水そのものを利用するタロカンの攻撃は大きな被害を与えます。

戦いの中で、ネイモアは王宮へ到達します。ラモンダとリリがいる部屋が水没し、ラモンダはリリを救い出しますが、自身は溺れて命を落とします。

シュリにとって、兄に続いて母までネイモアによって奪われたことになります。

ラモンダは最後まで「女王」だけではなく母として行動しました。敵国が狙っていたリリを見捨てれば助かる可能性があったにもかかわらず、彼女は少女の命を救います。

そしてシュリの悲しみは、ここで完全に復讐心へ変わります。


12. 悲しみを受け入れられないシュリ

ラモンダの葬儀後も、シュリは喪失と向き合おうとしません。

エムバクはネイモアについて、単なる国王ではなく何百年も民から神として崇拝されてきた存在だと警告します。彼を殺せばタロカンとの戦争は終わるどころか、永遠の報復へ進む可能性があります。

しかしシュリは聞き入れません。

一方、ワカンダへ情報を流していたロスも危険な立場になります。CIA長官となっていたヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌは通信を把握しており、ロスはワカンダへ機密を渡したとして拘束されます。

国家同士の争いはワカンダとタロカンだけではありません。アメリカを含む地上諸国もヴィブラニウムを狙っており、ネイモアが恐れている「いずれ世界が奪いに来る」という未来には現実的な根拠もあります。


13. ハート型のハーブを再生するシュリ

シュリはネイモアから受け取っていた装飾品に目を向けます。

そこには、タロカン人の祖先が摂取したヴィブラニウム由来の植物の繊維が残されていました。シュリはそれと過去のハート型のハーブのデータを組み合わせ、ついに人工のハート型のハーブを完成させます。

ティ・チャラを救うためには間に合わなかった研究が、今度はシュリ自身をブラックパンサーにするため完成したことになります。

ハーブを摂取したシュリは祖先の世界へ入ります。しかし待っていたのはティ・チャラでもラモンダでもなく、前作の敵エリック・キルモンガーでした。

キルモンガーは、シュリが自分と同じく怒りと復讐を求めていると見抜きます。ティ・チャラならネイモアを許すかもしれない。しかしシュリは本当に兄と同じなのか、と問いかけます。

シュリが新たなブラックパンサーになっても、精神的にはまだティ・チャラの後継者になれていません。力を得た瞬間こそ、彼女が最もキルモンガーに近づいているのです。


14. 新ブラックパンサーの帰還

ブラックパンサーのスーツをまとったシュリは、ジャバリ族のもとへ現れます。

失われたと思われていたハート型のハーブとブラックパンサーが復活したことで、ワカンダ側は反撃の準備を始めます。

シュリはネイモアの身体を分析し、彼が水分を皮膚から取り込むことで力を維持していると推測します。そこで海から引き離し、乾燥させれば弱体化できると考えます。

オコエとアネカには新型装甲ミッドナイト・エンジェルが与えられ、リリもワカンダの技術を使った新しいアーマーを完成させます。

作戦は理論的には合理的です。しかしシュリの本当の目的は停戦ではありません。母を殺したネイモアを自分の手で殺すことです。


15. 海上で始まるワカンダ対タロカンの総力戦

ワカンダ側は新たなヴィブラニウム探知機を囮として使い、ネイモアとタロカン軍を海上へ誘い出します。

巨大船の上で、ワカンダ軍、ドーラ・ミラージュ、ジャバリ族、ミッドナイト・エンジェル、リリらがタロカンの戦士たちと激突します。

一方シュリはネイモアだけを分断し、飛行艇内部へ閉じ込めます。装置で内部を高温・乾燥状態にし、彼を弱らせたうえで海から遠い場所へ運ぼうとします。

しかしネイモアは脱出し、二人は海岸で一対一の戦いになります。

新ブラックパンサーとなったシュリは互角以上に戦いますが、ネイモアも何百年を生きてきた強大な戦士です。シュリは腹部を槍で貫かれ、岩へ固定されるほど追い詰められます。


16. シュリが選ぶ「復讐しない」という勝利

シュリは自力で身体を引き抜き、ネイモアを追い詰めます。

飛行艇の爆発でネイモアを焼き、最後には槍を突きつけます。ここで彼を殺せば、母の復讐は果たせます。

しかしシュリの脳裏にラモンダの姿が浮かびます。

目の前のネイモアは、民を守るために戦ってきた王です。そしてシュリ自身も、ワカンダを守るブラックパンサーです。彼を殺せばタロカンとの戦争は終わらず、両国が家族を失い続けるだけだと理解します。

シュリはネイモアへ、ワカンダとタロカンが互いを守り、タロカンの存在を秘密にすると約束し、降伏を求めます。ネイモアはこれを受け入れます。

ここでシュリは、キルモンガーの道ではなくティ・チャラの道を選びます。ただし兄の真似をしたのではありません。自分自身が復讐の直前まで進んだからこそ、その先に何も残らないと理解して剣を止めたのです。


17. 戦争の終結とそれぞれの新しい道

ネイモアの降伏によって戦闘は終了し、ワカンダ軍とタロカン軍は撤退します。

ナモラはワカンダへ屈したことに不満を示しますが、ネイモアは長期的な考えを持っていました。世界の国々は今後もヴィブラニウムを求め、いずれワカンダは孤立する。その時、ワカンダにとってタロカンが唯一の強力な同盟国になると考えているのです。

ワカンダでは王位継承の儀式が行われますが、シュリは姿を見せません。代わりにエムバクが現れ、王位へ挑戦する意思を示します。シュリはブラックパンサーにはなりましたが、必ずしも国王まで引き継ぐ必要はないという、新しい役割分担が示されます。

拘束されていたロスは、ミッドナイト・エンジェルの装備を使うオコエによって救出されます。

そしてシュリはワカンダを離れ、ハイチのナキアを訪ねます。ラモンダに言われていた通り、葬儀で着た服を燃やし、ようやく兄と母を失った悲しみを真正面から受け止めます。

物語冒頭では怒りから服を燃やせなかったシュリが、最後には忘れるためではなく、思い出を抱えたまま前へ進むために燃やす。ここで彼女の喪の時間が初めて動き始めます。


ポストクレジットシーン

本作には、物語の意味を大きく変えるミッドクレジットシーンがあります。

ハイチで海を眺めるシュリのもとへ、ナキアが一人の少年を連れてきます。

少年の名前はトゥーサン。そしてナキアは、彼が自分とティ・チャラの息子だと明かします。

ティ・チャラとナキアは、息子を王位を巡る重圧から遠ざけるため、ワカンダではなくハイチで育てることを選んでいました。ラモンダも孫の存在を知っており、ティ・チャラの葬儀にナキアが出席しなかったことにも理由がありました。

さらに少年は、自分のワカンダ名がティ・チャラであるとシュリへ伝えます。

これは「ティ・チャラをそのまま代役で置き換える」という意味ではありません。本作を通して喪失そのものを受け入れた最後に、ティ・チャラが残した未来が静かに存在していたことが明かされる場面です。


主要キャラクターまとめ

シュリ / ブラックパンサー

ティ・チャラの妹で、ワカンダ最高峰の科学者です。

本作では兄を救えなかった罪悪感から科学と研究へ閉じこもり、さらに母ラモンダまで失ったことで復讐へ傾きます。人工ハート型のハーブを完成させ、新たなブラックパンサーになりますが、祖先の世界で現れたのはキルモンガーでした。

最終的にネイモアを殺さず戦争を止めることで、兄の後継者である以前に、自分自身の意志でブラックパンサーになる人物です。

ラモンダ

ティ・チャラとシュリの母で、ティ・チャラ亡き後のワカンダを率いる女王です。

国際社会からヴィブラニウムを狙われる中でも毅然と国を守り、同時に息子を失った母としてシュリを支えようとします。最期はリリを救って死亡します。

シュリが復讐を踏みとどまる時に思い出す存在でもあり、本作の精神的な中心人物です。

ネイモア / ククルカン

海底王国タロカンを何百年にもわたって守ってきた王です。

足首の翼による飛行、水中での活動、超人的な身体能力を持ち、民からはククルカンとして崇拝されています。地上の植民地支配を目撃した過去から外の世界を強く警戒し、タロカンを守るため先制戦争も辞さない考えを持っています。

シュリとは「国を守る王族」という共通点を持つ一方、恐怖から敵を先に消そうとする点で対立します。

オコエ

元ドーラ・ミラージュ隊長です。

シュリを守れなかった責任を問われて隊長職を解かれますが、ワカンダへの忠誠は変わりません。終盤ではシュリが開発したミッドナイト・エンジェルを装着して戦います。

前作までの「伝統的なワカンダの戦士」から、新しい役割へ踏み出す人物でもあります。

ナキア

ティ・チャラの恋人で、元ウォー・ドッグです。

ティ・チャラとの間に息子をもうけ、彼を王位の重圧から遠ざけるためハイチで生活していました。ラモンダの依頼でタロカンへ潜入し、シュリとリリを救出します。

本作では戦士であると同時に、ティ・チャラが残した家庭と未来を守っていた存在として描かれます。

リリ・ウィリアムズ

MITに通う天才学生です。

ヴィブラニウム探知機を開発したことで本人の意思とは無関係に国際問題の中心へ置かれます。自作の飛行アーマーを持ち、ワカンダではさらに高性能な装備を完成させます。

本作でMCU初登場し、後の『アイアンハート』へつながる人物です。

エムバク

ジャバリ族のリーダーです。

ティ・チャラ亡き後はラモンダやシュリへ率直な意見を述べる重要な指導者となっています。ネイモアへの復讐に傾くシュリへ、彼を殺せば永遠の戦争になると警告します。

ラストでは王位継承の場へ現れ、ワカンダの政治的な新体制を示唆します。

重要アイテム・組織

タロカン

海底に存在するヴィブラニウム文明です。

ワカンダと同じく外界から隠れて発展しましたが、侵略と植民地支配の記憶から地上世界を強く警戒しています。本作でMCUの地球上に、ワカンダとは別の超文明国家が存在することが明らかになります。


ヴィブラニウム探知機

リリ・ウィリアムズが設計した装置です。

これによってワカンダ以外のヴィブラニウム鉱床が発見され、タロカンの存在が外部へ露見しかけます。本作の国家間対立を始める直接のきっかけです。


人工ハート型のハーブ

前作で失われたハート型のハーブを、シュリが科学的に再現したものです。

ネイモアの装飾品に残っていたタロカン由来の植物を手掛かりに完成し、シュリへブラックパンサーの力を与えます。科学とワカンダの伝統が再び一つになる象徴でもあります。


ミッドナイト・エンジェル

シュリが開発した高性能戦闘アーマーです。

オコエとアネカが装着し、タロカンとの最終戦で使用します。ドーラ・ミラージュとは異なる新しい戦闘部隊・装備の方向性を示します。


ドーラ・ミラージュ

ワカンダ王家を守る精鋭部隊です。

本作ではオコエの解任後もアヨたちが活動し、国家防衛を続けます。ティ・チャラ不在でもワカンダの制度そのものが機能していることを示す存在です。


MCU的に重要なポイント

1. シュリが新たなブラックパンサーになる

ティ・チャラの死後失われていたブラックパンサーが復活します。ただしシュリは国王ではなく、ブラックパンサーという守護者の役割を受け継ぎます。

2. タロカンとネイモアがMCUへ登場

地球上にワカンダ級のヴィブラニウム文明がもう一つ存在することが判明します。ネイモアは単独でもブラックパンサー級以上の脅威となる強大な存在です。

3. リリ・ウィリアムズが初登場

若き天才発明家リリがMCUへ加わります。本作ではトニー・スタークの直接的な後継者ではなく、自分自身の技術でアーマーへ到達した人物として描かれます。

4. ハート型のハーブが復活する

キルモンガーによって失われたと思われていたブラックパンサー継承の仕組みが、シュリの科学によって再生されます。

5. ヴァレンティーナがCIA長官だと判明する

『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』『ブラック・ウィドウ』に登場していたヴァレンティーナが、CIAのトップとしてロスを監視していたことが明かされます。

6. ティ・チャラの息子が存在する

ミッドクレジットで、ティ・チャラとナキアの息子トゥーサン/ティ・チャラが登場します。シュリとは別の形で、ティ・チャラの血筋と未来が残されます。


作品のテーマ

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の中心にあるのは、喪失をどう受け入れるかというテーマです。

シュリは兄の死を受け入れられず、「科学が間に合わなかった」という後悔へ閉じこもります。そこへ母まで失ったことで、悲しみは復讐へ変わります。

ネイモアもまた、祖先が地上世界から受けた暴力と迫害を忘れず、その恐怖を「先に敵を倒す」という思想へ変えています。二人はどちらも、大切なものを失った結果として怒りを力へ変えようとする人物です。

だからこそ最後にシュリがネイモアを殺さないことが重要です。復讐を諦めることは母の死を忘れることではありません。失った人を愛したまま、それでも同じ喪失を次の誰かへ与えないと決めることが、本作におけるシュリの成長です。


まとめ

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は、ティ・チャラという国王とヒーローを失った後のワカンダが、その穴を単純に別の人物で埋めるのではなく、残された者たちそれぞれが新しい役割を見つけていく物語です。

ラモンダは女王として国を守り、ナキアはティ・チャラとの息子を守り、オコエは新しい戦士の姿へ進み、エムバクは政治的な指導者として存在感を増します。そしてシュリは、兄を救えなかった科学者から、自らハート型のハーブを再生しブラックパンサーとなる人物へ変わります。

しかし本当の継承はスーツを着た瞬間ではありません。ネイモアを殺せる状況で復讐を止め、ワカンダとタロカン双方の未来を選んだ瞬間に、シュリは初めてティ・チャラが守ってきた精神へ到達します。

MCU全体では、新ブラックパンサー、タロカン、ネイモア、リリ・ウィリアムズ、人工ハート型のハーブ、そしてティ・チャラの息子という次世代へつながる要素を一気に導入した重要作です。